再生装置
オーディオ趣味は「聞く耳」の訓練として役立ちそうなので、私の経験を紹介します。
1)同一音源でも装置によって異なるように聞こえる。
学生時代にJAZZ喫茶などで聞くのと自宅で聞くのでは同じLPでも違った演奏に聞こえるという体験から、再生装置が異なれば音が違うと気付き、オーディオに興味を持ちました。
2)同一音源、同一装置でも日によって異なるように聞こえる。
LPレコードの時代には、カートリッジの針先のゴミや、接点の接触不良などが原因で音が歪む場合が多く、整備(メンテナンス)が大切であると気付きました。
3)同一音源、同一装置、整備不要でも日によって異なるように聞こえる。
音
源をCDプレーヤとし、システムの接点を減らし、整備が不必要と思える状況でも違う音に聞こえるため、温湿度がスピーカやコンデンサに影響を与えるのか?
などと思い、様々な試行錯誤や部品交換などでオーディオ趣味の深みにハマりましたが、装置をイジルのに飽きてくると、自分の体調や精神状態により違う音に
聞こえるのではないか?と気付きました。
自分自身の「聞く耳」を良い状態にしておくためには、体調と精神状態の管理が必要です。特に、音楽に対する先入観念を取り除き素直な心で聞けるようになることと、怒ったりイライラしたりせずに心の内面を整えることが重要ではないかと思うようになりました。
「耳のある者は聞きなさい」(マタイ13.43)
多くの人々は、他人の意見や判断に動かされます。
高級オーディオで借金が膨らんだことによる収賄事件?を聞いて驚きました。私もオーディオ好きで、機器の自作などをして試行錯誤してきたのですが、多くの人は雑誌の評論家などを頼り、高価な機器を頻繁に買い換えるようです。
他人の耳を頼りにしている間は、何が良い音なのかの判断はできずに右往左往するしかないと思います。(2011.05.20)
神田の書店へ行ったついでに、高級オーディオ店に立ち寄りました。機器を見ると精緻な仕上げで購買意欲を煽られるのですが、音を聞くと昔と変らないと感じました。
もし貴方が、所有欲を満たすのでなく、音の良い装置を求めるならば、現在の選択肢は自作がベストだと思います。以下の記事が参考となれば幸いです。(2011.05.22)
システム(2016年6月)
スピーカ : Lowther DX3 + 自作箱(TQWT)
レコード・プレーヤ : 糸ドライブ・モータ + 色々なアーム
イコライザーアンプ : 自作(チョーク・インプット電源)
CDプレーヤ : Kenwood L-D1 / Esoteric X-30
メインアンプ : トライステートの1W×2ステレオ・デジタル・オーディオアンプ・キット
使用している再生装置を紹介するのは恥ずかしい気持ちですが、CDやLPを良い音で聞くためのヒントになることもあるかと思い、普段感じている事を書いてみることにしました。
良い音とは、どのような音かと考えれば、ぼやけない明瞭な音、生き生きとした音、自然で普通の音、という言葉が思い浮かびます。良い音を得るためには、システムの単純化と、接点を減らすこと、配置の最適化により配線長を短くすること等が、最も賢い方策でしょう。
以下で紹介するものは最高の音を追求するというような装置ではありませんが、信頼性の高そうな部品や製品に頼るしかない素人のため無駄に贅沢している部分が目立ち残念です。経験豊富な賢い人であれば、より安価に同等の音を得ることは十分に可能であろうと思います。
注)上写真のように地デジの大型テレビ購入によりスピーカ配置を変更しレコード箱の上に載せたところ音色が大きく変わりました。低音がたっぷりした高級オーディオ風味です。ややピンボケかなとも思いますが当面はこの状態で使うと思います。(2009.12.29)
話
題は変わりますが、テレビが安価で高性能となっているのに驚きました。画像は全く安定しており、画質は入力ソース次第という高性能なので、「アナログのほ
うが良かった」という意見は出そうにありません。ブラウン管テレビからの買換で、同じ場所に置ける30型程度のものにしようと考えていたのですが、価格に
大差がないため家人の強い要望に従い40型を購入しました。安価で高性能なことに文句は言えませんが、あまりに大型でリアルな画像のために、子供がテレビ
とゲームに取り憑かれそうなのが怖いです。画像と現実との境界が曖昧になり、現実をテレビやゲームのように薄っぺらなものだと感じるのではないかと心配し
ています。テレビ番組も残酷なものや大食い競争などは見ると気分が悪くなりますし、出演者をイジメているようなものや喧嘩のように騒々しく不安を煽るだけ
の番組は不快なので、子供達へテレビを消すように言うのですが、無視されることが多く残念です。
スピーカ
Lowther DX3 or PM6A + 自作箱(TQWT)
スピーカは再生装置の性格・質を決める最重要部だと感じています。音圧を感じる程の大
音量で聞いたほうが良いと思える音楽(ジャズの一部やロックなど)の再生には、2ウェイ以上の大型スピーカが最適だと思いますが、私の生活環境では大音量
再生は不可能ですので、昔から20cm口径のスピーカを使用してきました。
20cm程のフルレンジで印象に残っている物を参考として紹介します。
パイオニアのユニット自体のキット(型番忘れました)は作るのは面白かったのですが、ビスコロイドを塗った重たいダブル・コーンのためか眠たい音だった
ような記憶があります。オンキョーのFRX20は自然な音で10年程度使い続けましたが、Lowtherに付け替えると明瞭さが劣っていることが判りまし
た。
ツイータを加えたマルチ・チャンネルなども試みましたが、Lowther(ローサー、ラウザー)を使うようになってからはフルレンジ一本のほうが良いと感じています。
現
状ではDX3というネオジム・マグネットを使用した新型スピーカ・ユニット(16Ω)を使っていますが、以前はPM6A(Hi-Ferric、8Ω)とい
うアルニコ・マグネットのものを使っていました。昔のPM6Aは音が馴染むまで1年以上かかりましたが、DX3は箱に取り付けてすぐに良い音が出ました。
PM6Aはエッジを張り替えたりダンパーを糸吊にしたりして使っていましたが、とても敏感なユニットだという印象が残っています。ギターの弦を弾く音など
は生々しく驚くようなこともありました。昔のPM6Aに比較するとDX3は様々な音楽をバランス良く鳴らす使いやすいユニットだと思います。店頭で少し聞いただけですが、FOSTEXのフルレンジ・ユニットも良さそうです。
(2015.08.13追記)半年程前に左側のDX3の音が出なくなり、古いPM6Aに交換したため、現状では上写真のように左右のユニットが異なります。DX3が16Ω、PM6Aが8Ωなので音量差が原因かも知れませんが、DX3のほうが刺激的な音を出さずにマイルドな音質だと感じます。
(2016.06.26追記)DX3の中古美品が左右ペアで10万円と安価に入手できました。Lowtherユニットは大幅に値上がりして新品購入を躊躇していましたが、ヤフオクで偶然見つけました。PM6Aは人気があり高価になりますが、DX3は私以外の入札はありませんでした。
箱
は、雑誌「無線と実験」の読者投稿欄に「高価なオーディオ・ベクターと同等の音がする」という趣旨で紹介されていたTQWT(Tapered
Quarter Wave Tube
: テーパー付1/4波長管)という形式の図面を参考に30mm厚のパイン集成材を使って自作しました。ローサー標準箱のバックロード・ホーンに比べて響
きの少ない細身の音かなと思います。
かつて、特注品と思われるピアノ仕上げの立派な大型箱を見て驚いたことがあり、箱にお金をかければキリがありませんが、インターネットなどを利用して情報を集め、自作すれば安価に良い箱ができると思います。
自作の参考用として私の箱の寸法図を右上に、また、製作時の注意書きを下に示します。英語なので訳しますと、コイルギャップに鉄粉などのホコリが入ると大変なことになるので道具や制作場所を清掃してから作業をするように、との趣旨です。
普通のユニットは、センターキャップなどでホコリが入らないようになっていますが、Lowtherはコイルギャップ部分がオープンなのでスピーカ周辺を吸引型掃除機で定期的に清掃しホコリが取り憑かないように注意する必要があります。
レコード・プレーヤ
糸ドライブ・モータ + 色々なアーム
CDは手軽でソフトが多いので、LPは次第に聞かなくなり、ほとんど処分してしまいましたが、最近LPの良さを再認識し、好んで聞くようになりました。
現
在のレコード・プレーヤは不要となった糸ドライブ・プレーヤを頂戴しメンテナンスしたものです。これは中央電機(CEC)のアイドラ・ドライブを改造した
もののようでモータの回転方向が通常とは逆ですが、速度調整ができることが特徴です。速度調整は右写真のようにアルミ円盤の回転を非接触の磁石で制動する
方式です。アルミは磁石に吸い付かないのに、なぜ制動できるのか?と思い調べたところ、磁界を横切る回転アルミ円盤中に渦電流が生じ、磁界と電流の相互作
用により電磁ブレーキがかかるようです(アラゴの円盤)。速度調整のために磁石位置を変化させる複雑な機構がついていたのですが復旧が困難だったので取り
外し、油粘土で位置決めをしています。子供の工作や理科の実験をしているような楽しい気分です。
糸ドライブ・プレーヤはモータが離れておりカートリッジが電磁的雑音を拾いがたいという利点がありそうですが、糸の調整やシャフトのメンテナンスなどの手間をかけるのが楽しみという人でないと使い続けることは難しいでしょう。
アームは古い1点支持のオイルダンプ・アームや外付けしたロング・アームな
ど色々使いましたが、最近は音質よりも使い易さを重視するようになり、カートリッジ交換などが簡単な普通のアームを主に使っています。写真は右がロング・
アームのSony PUA-1600L、奥がオイルダンプ・アームのGrace G-140sです。(2016.06.30)
針はカーボン軸の丸針を好んで使うのですが、楕円針よりも丸針のほうがレコードとの摩擦が少なく、神経質な音にならない感じがするので安心して聞けます。
昔から、アナログのほうがCDよりも気持ちの良い音だなと感じてきましたが、理由は良くわかりません。
(2010.05.03追記) 剛性や重量の大きい1点
支持アームを使うと、パイプ・アームより明瞭で安定した音になると感じたのですが、この音はデジタルCDに近いようです。この体験により、アナログLPで
はアームやカートリッジによる響きが付加されるため、風呂場での唄と同様に、気持ちの良い音に感じるのではないかと思うようになりました。
イコライザー・アンプ
自作(チョーク・インプット電源)
バラックのような外観で恥ずかしいのですが、20年以上前に自作したものです。私は回
路設計などできない素人ですので、本か雑誌に掲載されていた回路を参考にして製作しました。詳細は忘れましたが、電源回路は数種のものを試した結果、
チョーク・インプット方式を選択したことが記憶に残っています。チョーク・インプット方式は電源ノイズが小さく、さらに68000μFという大容量の電解
コンデンサを使用したためか、他方式よりも音が良かったと思います。コンデンサやトランスが大型のためラック内配置が難しく、10年以上押入れで埃をか
ぶっていましたが、LPを真面目に聞き返すために再び組み立てました。
測定器はオシロ程度しか持っていないので、イコライザ・カーブを決
めるためのコンデンサには誤差の少ないSOSHIN製ディップマイカ等を使いました。パスコンには寿命の短い電解コンデンサは使わずNTK(日通工)のタ
ンタル・コンデンサを採用するなど長く使えるように配慮しました。
イコライザー・アンプでは直流カット用コンデンサが
不可欠であり、音に微妙な影響を与えます。現状ではDCカット用にNTKのオイル・コンデンサとNECのメタライズド・フィルムを使っています。昔、比較
選択した時の印象は、スチコンは素直な音ですが0.4μF程度でも大型のためシールドが面倒であり、メタライズド・フィルムは小型ですが音が綺麗に変化す
るように感じ、オイル・コンデンサは大型ですが金属容器でシールドされているため使いやすく音は素直で自然な感じでした。今ではコンデンサの性能も向上し
ていると思いますので、各自で試行錯誤されると面白いと思います。(CDプレーヤKenwood
L-D1は出力インピーダンスを小さく設定するためか容量の大きな電解コンデンサを使っているようで驚いたことがありますが、音に不満がないので素人改造
はしていません)
2008年6月にフラット・アンプのDCバランスが崩れていることに気付きました。右写真のフラット・アンプの片チャン
ネルから数十ミリ・ボルトの直流が不安定に出力されていたため、アッテネータ接点に直流が流れ、ガリ(雑音)が生じました。DCバランスの調整は、多回転
型ポテンショメータ(半固定抵抗)で行いますが、この部品の経年劣化による接触不良が原因だと思います。(イコライザー・アンプ基盤では製作時のDCバラ
ンス調整後に固定抵抗に置き換えてハンダ付けしています)
この不具合対策としては、修理するのではなく、イコライザー・アンプ→DCカット用コン
デンサ→フラット・アンプ→アッテネータ付きメイン・アンプというシステム構成からフラット・アンプを取り除きました。CDとレコードを聞く場合の音量差
が大きく音量調整に工夫が必要ですが、システムはより単純になりました。
(蛇足)-昔、
レコード再生中にトラック無線の声を受信して驚いたことがあり、外来ノイズ対策(シールド)とアース処理の重要性を認識したことがあります。どのようなメ
カニズムでカートリッジ〜イコライザー・アンプがトラック無線を受信したのかは不明ですが、自作アンプが不安定で発振しやすい状態だったのではないかと思
います。不具合対策で試行錯誤してみると、思わぬ繋がりと相互作用があるのに驚きます。
レコード録音機
OLYMPUS LS-20M
LPレコードを録音するためにリニアPCMレコーダーを使っています。私はデジタル機器に関しては無知ですが上記LS-20Mを選択しました。
こ
れにはライン入力と外部マイク入力の2個のφ3.5mmミニプラグ端子(ジャック)があります。私は最初、ライン入力(39kΩ)を使っていましたが、フ
ラット・アンプ無しのため、ややレベルが低くて困りました。そこでカートリッジを大出力のDJ仕様に変更しようか?、フラット・アンプを追加しようか?な
どと迷いましたが、マイク入力を使うことで問題解決したので紹介します。
上図のようにイコライザー・アンプの出力であるコンデンサー端子に
40kΩ程度の抵抗を入れてミニプラグ出力コードをハンダ付けしました。外部マイクのインピーダンスは2.2kΩなので約1/20にレベルが下がります。
私の常用カートリッジでは6db程度絞るとちょうど良いレベルになるようです。
チェンバロのLPは特殊で、鼻づまりのような印象になり上手に録音できません。(2012.09.23)
メイン・アンプ
トライステートの1W×2ステレオ・デジタル・オーディオアンプ・キットを2000円
で購入しメイン・アンプを作成しました。アンプ基盤はテキサス・インスツルメンツ社製TPA2001D1をステレオ用に2個搭載したもので、電源には
5V3Aのスイッチング式ACアダプターを使用しています。TPA2001D1はフィルタ不要の新型デジタル・アンプで、出力が小さく電源が
非力なためスピーカ保護はせずに直結しました。増幅ゲインの切替スイッチを付け、CD用に最低ゲインの6db、LP用にはイコライザー・アンプの出力
レベルが小さいため17.5dbとしました。LP再生時に針先清掃するためにはミュート・スイッチが必須なのでShutdown端子を利用しています。
アッテネータは本格的なアンプを作るために保管しておいたDAVENのT型5kΩ(総減衰量30db、1db/1ステップ)です。DAVENはプロ用
500Ωが一般的ですが、これは珍しい素人用5kΩなので入手しました。高価ですが写真のようにメンテしやすい立派な接点なので一生ものです。
(DAVENは回転トルクが大きく使いにくいと思っていたのですが、今回製作中にトルク調整が可能なことに気付いたので軽快な使用感です)
コンデンサの選択は
悩みました。技術資料にはバイパス・コンデンサの容量は入力コンデンサの10倍以上を推奨し0.5μF〜1μFが標準と書いてあります。私は入力コンデン
サに常用している無極性タンタル5μFを使いたいと思ったのですが、バイパス用は10倍で50μFと標準値の100倍〜50倍となり不安だったので、入力
用1.5μF(無極性電解)とバイパス用15μF(タンタル)としました。この容量で低音の不足感は全く無く、ポップ・ノイズも製作中のスイッチ切り替え
時に1回だけピュンという大音量が出て驚きましたが、その後は問題なく使っています。電源には米国軍用規格?の1000μF電解と30μFタンタルを並列
して用いました。
このデジタル・アンプはアースの取り方に注意が必要です。私は入力コンデンサで基盤とアッテネータ間を配線したため入力
プラグの−で1点アースとし基盤Gとアッテネータ金属ケースを結線しないとノイズが出ましたが、アンプはアースから浮いた状態で動作するため出力側の
−はアースと結線してはいけません。
1Wで実用になるか?という懸念もありましたが、98db/Wという高能率なスピーカではパワー不足は感じず小音量時には20Wデジタル・アンプよりも明瞭な音になったような気がします。
デジタル・アンプを使ってみると技術進歩の素晴らしさが実感できます。消費電力も少なく地球環境へ優しい感じです。
(2009.2.1追記)数
週間の使用ですが音質に関しては全く不満はありません。製作当初は入力コンデンサのアルミ電解的な響きが多少付加されるような気がしましたがエージングに
よるのか不自然な響きもなくなり明瞭で素直な音だと感じています。(使用した入力コンデンサは1.5μFの電解としては異様に大型で信頼性が高そうだった
ので1個50円で購入したものです)アースとアンプ間には+2.5V程度の電位差があるので極性のあるタンタルを使ったほうが良かったと製作後に気付いた
のですが、音に不満がないので改造していません。
バイパス用コンデンサは容量を小さくしたほうが良いかなと思っています。現状ではミュート・ス
イッチを入れてから4秒程度で音が出るのですが、LPに針を落とした後にスイッチを入れると曲の頭が欠落するので困ります。多分、5μF程度としてもポッ
プ・ノイズは問題ないだろうと思います。
(蛇足)最高の音を目指すのであれば、電源をノイズの少ないチョーク・インプット型にするのが良いと思います。電流が小さいので臨界電流以上に設定できるチョークは特殊ですが通常品でも効果はあると思います。
昔、チョーク・インプット電源の本格的なアンプを作りかけて断念したことがあり、押入れに大型チョークが残っていることを思い出しましたが、十分に満足できる音なので多少の性能向上のために改造する元気は出ません。
(蛇足の資料)チョー ク・インプット型電源に使用できるチョークに関する資料は見つけ難いので手元にあるものを以下に紹介します。これは、昔、半導体アンプ用チョークを入手し た時に添付されていたものだと思います。これを見て臨界電流などの知識を得たのですが、上記イコライザー・アンプで用いているチョークの型番、定格などは 判明せずに困っています。(2010.08.09)
1wという小出力アンプを使うようになって特に不満もないので、音量とアンプ出力の関係を調べてみました。
私
の使用スピーカは98db/m/Wという能率なので、1w入力すると、スピーカから1m離れた位置で98dbの音量となります。普段の聴取位置は4m程度
の場合が多く、最長で9m(料理をしながら)最短では1m(レコード磨きをしながら)という状況ですが、部屋の容量(25畳ほどで天井高2.6m)や反射
(漆喰塗り壁)のためか聴取位置による音量変化はあまり感じません。
音量の様子は100db:電車の通る時のガード下 、90db:騒々しい工場、70db:騒々しい事務所、ということです。
これらより、私の普段の聴取音量は、多分、70dbから90db程度であり、アンプ出力としては1wで充分であるということが理解できました。
昔使っていた100wアンプは何だったのかと思う今日この頃です。(2009.09.13)
CDプレーヤ
Kenwood L-D1 / Esoteric X-30
私は多くのCDプレーヤを使ったわけではないので、どの機種が優れているのかはわかり
ませんが、現在はKenwood
L-D1を主に使っています。レコード・プレーヤと同様にターン・テーブルにCD記録面を上向きに置いて再生する方式です。10年以上に亘り安定して動作
してきましたが3年程前に音飛びするようになったのでピックアップ移動用レール等のシリコン・グリスを塗り直して自分で修理しました。音は自然な感じで特
に不満はありません。
L-D1は15年程も使い続けた御老体なので右写真のエソテリックX-30を2年程前に後継用として使い始めまし
た。X-30を使い始めた時には音が貧弱で堅苦しい感じで困りましたが、コンデンサ等のエージングによるものなのか、数ヶ月間使う間に違和感がなくなって
きました。現状での音は大差ありませんがX-30のほうがシャープな感じがします。
L-D1修理中に1万円以下のDVDプレーヤを代役で使った時にも音は大差ないと感じましたが、安価なプレーヤは機械部分が貧弱で寿命が短く、図書館などで借りたCDにキズを付けるのが心配です。
20万円程のプレーヤは贅沢すぎるかなとも思いましたが、真面目に音楽を聞くためには丁寧に作られたもののほうが良いと考えて購入しました。賢い主婦から見れば、バカな買物という感じでしょうが、動機を考慮して、勘弁して頂きたいと思います。
(2010.01.18追記)常
用している古いKenwood L-D1は、新しいEsoteric
X-30に比べて、音の明瞭さが劣るようです。大げさに言うと、ベールが懸ったような、音が遠くから聞こえてくるような感じです。酷使しているL-D1を
メンテしようかと思って聴き比べたので、何かの不具合があるのかも知れませんが、出力コンデンサーが電解なのが原因のような気がします。(昔、コンデン
サーの比較試聴をした時に、電解はベールが懸ったような音がすると感じました)
微妙な差なので、アナログ的な柔らかい音がするL-D1のほうが良い音だと判断する人も多そうです。
(2011.07.18追記)ブ ルーレイ・ディスク・プレーヤを購入してCD再生にも使用してみました。驚いたのは、5kΩ受けなので負荷が重いのかも知れませんが、出力レベルが6db 程度低いようです。(測定器ではなく聴感なのでアバウトです)私のシステムのアッテネータは最大減衰量30dbですが、さらに音を小さくしたい場合に使う プレーヤとしては役立ちそうです。難点は、音が出るまでに時間がかかることと、音に力強さが感じられないことです。
高価な装置に憧れるのは私も同じですが、これが高価
=高性能という誤解から生じているのであれば問題です。安物を使うことはプライドが許さないというお金持ちが高価なオーディオで散財するのは結構ですが、
良い音を求める人に外見重視の高価な装置を売りつけるのは勘弁して下さい。
(蛇足の蛇足)上記蛇足を読むと、オーディオ店の人を非難しているというような誤解を招く恐れがあるので、私の乏しい経験を書いてみます。
15
年以上前にCDプレーヤを買った時は、試聴用スピーカとしてLowtherが使えるフロアに置かれたCDプレーヤの音質差が全く聞き分けられなかったので
試聴した中では最も安価なKenwood
L-D1を購入しましたが店の人は親切に応対してくれるだけで高価な装置を薦められることはありませんでした。数年前、同じ店に新しいCDプレーヤを買い
に行き、売り場陳列棚の前で小型スピーカを使った簡易な切替試聴した時も、音質は大差なく、数万円のものにしようか迷ったのですが機械部分の信頼性が高そ
うなEsoteric
X-30を選択しました。この時も高価なものを売りつけられたとは思っていませんが、賢い人から見れば無駄な贅沢だと笑われそうで恥ずかしいです。
私が変だと思うのは、上手な文章で安物とは違う良い音が出るのだと思い込ませ、高価な装置を売りつけようとするオーディオ雑誌の宣伝や記事のことです。
(技
術が進んだ現在では明確に音の差が出る機器はスピーカぐらいしかないと思います。但し、再生システム全体で考えると、ゲインや出力の大きいアンプを使った
場合の音量調整方法やアース処理方法、フルレンジ以外のスピーカを使った場合のデジタル・アンプとネットワークの相性等は明確な音の差になりそうです)
(追伸)上記を読んでオーディオ趣味を否定している
ように誤解されると困るので追加説明します。本日「無線と実験」2010年7月号の「私の愛機のメンテナンスと改造」という特集記事を読んで、オーディオ
は良い趣味だと感銘を受けました。執筆されている先生方も色々と試行錯誤されているようで、素人では得難い知恵が参考になります。
「オーディオよりも音楽、特にコンサートで生演奏を聞くことのほうが高級で良い趣味だ」という趣旨の文章を見かけますが、勘違いである場合が多いようです。
確かにコンサートへ行くのは暇とお金が必要なので、高級趣味ではありますが、多くの人が集まる場所で良い音と音楽に出会うことは困難だと思われます。良い録音を、まともなオーディオで再生したほうが良い音楽に出会う可能性は高いでしょう。
聞こえない音に耳を澄ます人のための福音です
天界の秘儀 仁慈の善 音楽