パイプ・アーム

アームは古い1点支持のオイルダンプ・アームなど色々使いましたが、最近は音質よりも使い易さを重視するようになり、カートリッジ交換などが簡単な普通のアームを使っています。これはTrioのKP-7600というプレーヤ付属の「弾性カップリング質量分離型トーンアーム」TA-51だと思われます。(2010.05.01)
新品アームは高価なため、私と同じようにオークションなどで入手した中古品を使う人も多いと思いますので、本アーム取り付け時の失敗談を書いてみます。普通のアームなので、接点や支点の点検、清掃をしながら、お気楽に組み上げましたが、針飛びが多く音が痩せているので変だと思い各部の動きを調べた結果、回転シャフト部の小型ネジを締める必要があることに気づきました。
思わぬ所のネジが緩んでいることもあるので注意が必要です。
昔はプレーヤ付属のアームをガタガタになるまで使い続けたのですが、色々なアームを交換して使うようになってから、アームの重要性とデリケートさが理解できるようになりました。多少のガタなどがあっても音はでるのですが、きちんと整備したあとで、整備前のアームは音が悪ったと気づきます。私も試行錯誤をしている段階なので具体的な整備方法を書くのは控えますが、高価なアームの支点部などを分解・修理するのは怖いので、安価な中古品で試行錯誤してみると面白いと思います。


2010.05.03追記) 剛性や重量の大きい1点支持アームを使うと、パイプ・アームより明瞭で安定した音になると感じたのですが、この音はデジタルCDに近いようです。この体験により、アナログLPではアームやカートリッジによる響きが付加されるため、風呂場での唄と同様に、気持ちの良い音に感じるのではないかと思うようになりました。

以下に以前使用していたパイプ・アームを紹介します。

DENON DA-304

ベアリングによる支点を用いた標準的なデンオンDA-304で、不必要だと思うインサイドフォース・キャンセラやアーム・リフターが付いていないシンプルさが気に入っています。DA-304は短い専用シェル使用が前提の業務用アームであり、一般的なシェル使用時の取り付け位置が明確でありませんが、レコード中心とアーム支点中心の距離を285mm、オーバーハング15mm(支点と針先間300mm)程度としています。アーム出力はバラ線なので2芯シールド線にハンダ付けしていますが、アースとシールドに試行錯誤が必要です。

(蛇足)--大音量でのレコード再生時に雑音(ハム)が発生することに気付きましたが、モータのアースをイコライザー・アンプに接続することで改善しました。アームを交換する人は、私のようにモータのアースが浮いているために微小な雑音が発生している事もあると思いますので、要注意です。但し、アースをどのようにするのが最適かは、システムによって異なると思います。

写真のレコード・プレーヤはロング・アーム用キャビネットにパイオニア製モータ(MU-1800)をセットしたものです。糸ドライブ・プレーヤのサブとして使用しています。

グレースG960

1点支持の宝石軸受けを採用したロング・アームです。1点支持なので左右にもフラフラする独特の使用感があります。支点部分にシリコン・オイルを入れるとオイル・ダンプ型になります。アーム・コードは5ピンですが凹凸が標準的なものと逆のため出力コードのハンダ付けができないのが残念です。湾曲のひどい盤でも針飛びが少なくトレース能力が高いように感じます。ダンプ量などを最適に調整する自信はありませんが、フラフラした頼りない使用感と異なり腰の据わった音が出る魅力的なタイプです。使いこなすのが楽しみという人には最適だと思います。

ソニーPUA-1600L

2点支持の宝石軸受けを採用したロング・アームです。SME3012と同様にアームが支点上に乗っているだけなので上方に持ち上がる上面解放型の支点です。アーム・コードは標準的な5ピンですが、私は接点を嫌ってピンに出力コードをハンダ付けしています。アーム・ベースの下には柔らかいゴム・シートを挟んで取り付けています。SMEと同様にシンプルな天秤タイプなので、感度が高く動作が鋭敏だと思います。音は細かい音をよく拾う情報量の多いタイプですが、組み合わせるカートリッジによっては神経質で聞き疲れるという感じがすることもあります。

SME3012

普段使用しているアームの他に外付けでアームを使用したい場合のヒントになることもあるかと思い、一例を紹介します。
上の写真のようにSME3012をプレーヤの前面に取り付けています。取り付け台は下の写真のように木と金物で自作しました。これは最下段の写真に示す保管用の桐箱に取り付ける場合にも用います。このSME3012は中古品を入手しましたが、様々な改修が行われているようです。アーム・パイプとエッジ及びウェイトは古いものですが、ベースと回転軸は新しいものに換えられているようで3009というシールが貼ってあります。出力コードがボロボロだったので、私は日立電線の2芯シールド線をハンダ付けしました。古いものでも改修しながら使えば、立派に現役です。

本アームはウェイト分離式の珍しいものですが、重量級カートリッジでないとバランスが取れず、MM型を主に使う私には猫に小判なので、先日オークションで売却してしまいました。

 

レコード録音

LPレコードを録音するためにリニアPCMレコーダーOLYMPUS LS-20Mを使っています。
私の常用カートリッジ(AT150+カーボン丸針)と上記アーム
(TA-51)で録音しユーチューブに投稿したものを紹介します。

http://www.youtube.com/watch?v=5mB8TPETP0I(ギター)
http://www.youtube.com/watch?v=uC_hkRuKfbM(JAZZ)
http://www.youtube.com/watch?v=qSGeCinjgx8(チェンバロ)

これらはMP3形式(320kbps44.1kHz)で録音しましたが、普通のレコードであれば、この程度でOKだと感じました。
チェンバロのLPは特殊で、鼻づまりのような印象になり上手に録音できません。もっと良いリニアPCM形式(96kHz24bit)でも録音できますが試していません。(2012.09.23)