Spirituals(黒人霊歌)
Joseph Spence /Bahamian Guitarist
Arhoolie , CD349 , 1971録音
ジョセフ・スペンス : 唄、ギター
Good Morning Mr. Walker 他 全21曲
バハマのJoseph
Spence(1910-1984)のギターと唄を収録したCDです。1971年のボストン招待時に録音されたので、ジョセフおじさんは61歳です。飾り
気の全くない、お気楽なギター演奏と唄で、思わず笑ってしまいました。同様の唄はバハマの宗教音楽、黒人霊歌を現地録音したNoneSuch盤などにも収
録されています。
http://www.youtube.com/watch?v=zFI6BmBpTjM&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=dYmnJ5WmR3U&feature=related
このような音楽は有りそうで、なかなか見つけ難いものです。本CDは音もよく、ユーチューブで聞くより魅力的なので、音楽を聴いてハッピーになりたい全ての人にお薦めです。(2010.05.10)
Gospel Tradition
Sony , SRCS5655 , 1991(1927-1956録音)
ベッシー・スミス、ワシントン・フィリップス、ウィルモス・フーディーニ、ジョシュ・ホワイト、カーター・ファミリー他 : 唄と器楽伴奏
天国、カナンの地 他 全24曲
ゴスペルの古い録音を集めたCDです。
ゴスペルとはアメリカの宗教的な民謡です。黒人・白人を問わず、様式も様々ですが、宗教と非宗教の区別が今よりも明確な時代に録音された唄を集めた本CDは、丁寧で分かりやすい日本語解説が付いており、ゴスペル入門として最適だと思います。
私は、本CDを聴いて、知っていたカリプソの曲などが、ゴスペルに分類されていて驚いた記憶があります。ベッシー・スミス、ワシントン・フィリップス、ウィルモス・フーディーニ、ジョシュ・ホワイト、カーター・ファミリーなども収録されており楽しめます。
意味も分らず楽しんでいる曲が宗教音楽であることも多いようです。
Ketty Lester - in concert
SHEFFIELD , S-15 , 1971録音
Ketty Lester :唄、 Lincoln Mayorga :ピアノ 、Ray Brown :ベース/他
God Bless The Child 他 全10曲以上
ケティ・レスターはテレビ番組「大草原の小さな家」に盲学校の教師役として出演してい
ました。本LPは霊歌、ゴスペルを主とした教会でのコンサートを実況録音したものです。彼女は共演者とともにコンサート時の昂揚、感動を回想しており、祝
福された特別な経験だったと記しています。説明困難ですが、大きな力の臨在、自分では制御不能の高揚、聴衆や伴奏者との一体感による美、などを感じたよう
です。確かに、詩の朗読から静かな唄に移っていく部分などを聞くと、伴奏者との完璧な調和により、ある種の美しさ(静謐?)が感じられます。手元にある盤
の状態は非常に悪くザーという雑音が大きいのですが、耳を澄ませば天国から届いたようなスピリチャルズ(霊歌)が聞こえてきます。
「大草原の小さな家」は良いテレビ番組でしたが、本LPも名盤だと思います。
以下に本LPからの録音を紹介します。
http://www.youtube.com/watch?v=LiQqW_1ACRQ
Washington Phillips /The
Key to the Kingdom
Yazoo, 2073 , 2005(1927-1929年録音?)
ワシントン・フィリップス : 唄、ハープ
What are They Doing in Heaven Today 他 全20曲
古いゴスペルを収録したCDです。
Washington
Phillips(1880-1954)はCD表紙の絵にあるようなハープ(チター属の弦楽器)を演奏しながら唄います。本CDは1927年頃録音の78
回転SPから作られたようです。詳細な解説が付いているのですが、きちんと読んでいません。ワシントン・フィリップスは昔、ゴスペルの歴史的録音集を聞い
た時に印象に残った歌手なので、本CDを入手しました。
ゴスペルというのは宗教的な内容の歌を意味するようで、ブルース(内容が世俗的な黒人の唄のことをブルースというようですが、ここでは外面的なブルース風
という意味です)、カントリー、カリプソなどの様々なスタイルがあるため、歌詞がわからないと聞いた印象だけでは判別が難しいものです。しかし、フィリッ
プスの唄う「What
are They Doing in Heaven Today」の素朴で厳かな印象は、聞いただけで宗教的な唄だということがわかります。
http://www.youtube.com/watch?v=zY_LG9a2I-E
最近、これを鼻歌で唄っている自分に気が付きます。右写真のロバの笑い顔がカワイイですね。
Josh White /the story of John Henry
Elektra, 701 , 1955
Josh White : 唄とギター
Black Girl 他 全9曲
唄うクリスチャンという別名もあるJosh
White (1914-1969)によるギター弾き語りの物語唄(バラード)を主に収録した25cm LP2枚組です。
ジョン・ヘンリーという働き者の鉄道工夫が機械と競争してハンマーを打ち続けたため倒れてしまい、小さな娘が働きながら看病しても回復しなかった、というような物語で、現代風に言えば長時間労働により過労死してしまい、残された家族が生活苦に陥ったという話です。
なぜ、ジョンが機械と競争したのかは不明ですが、当時は機械と人間を競わせて効率アップを図る資本家がいたのかも知れません。労働者を機械と同じものだと考えて競争を煽る資本家は、自分の罪深さを知らないのでしょう。
努力した、ガンバッタということは全て賞賛されるような風潮がありますが、これは資本家の陰謀かも知れません。
働くことは良いことですが、つまらない競争心を煽られ、体を壊すほど働いてはいけません。
マリアン・アンダースン / 黒人霊歌を歌う
Victor(日本), SHP2126, (発売年等の記載なし)
Marian Anderson :唄 /Franz Rupp :ピアノ
時には母のない子のように 他 全18曲
Lena Horne
Coronet, CX205, (発売年等の記載なし)
Lena Horne :唄 /他
時には母のない子のように 他 全4曲
左がMarian AndersonのLP,右がLena
HorneのLPです。
マリアン・アンダースンは1902年生まれの有名なクラシック歌手で、このLPではスピリチュアル(黒人霊歌)をピアノ伴奏で唄っています。声質が瞬間的
に切り替わる不思議な歌唱ですが、真面目に唄われる黒人霊歌のお手本という感じです。但し、真面目すぎる感じで、私には楽しめるものではありません。
右LPのLena Horneは美人歌手で、Jazz風味の洗練されたアレンジの伴奏とともに歌われるスピリチュアルは魅力的です。Lena
Horneは米国のTVショウなどで活躍した人のようで、派手な歌唱力には驚くべきものがあります。エンターテイメントではない黒人霊歌が魅力的すぎるの
は変な気もしますが、ラスベガス・ショウなどで多くの人にスピリチュアルが聞かれたとすれば、悪いことではないと思います。
同じ黒人霊歌が、異なるスタイルで唄われるのを聞き比べるのも一興です。
The Original Five Blind Boys
VEE JAY, ULS-1884-JY, 1956-1958年録音
アーチー・ブラウンリー :唄 /他
アイム・ア・ソルジャー 他 全12曲
For The Good People
GUSTO, K698, 1975年
The Stanley Brothers :唄 /他
Jordan 他 全12曲
左がファイブ・ブラインド・ボーイズのLP,右がスタンレー・ブラザーズのLPです。
オリジナル・ファイブ・ブラインド・ボーイズは、黒人教会を巡回公演するモダン・ゴスペル・グループの最高峰だそうです。本LPを聴いた印象は、娯楽音楽
的な香りが強いゴスペルで、リズム・アンド・ブルースやソウルというようなポップスに繋がっていくような音楽だと感じました。
スタンレー・ブラザーズはカントリーに分類
されるグループだと思いますが、本LPでは宗教的な唄を演奏しています。これを聴いて思い出したのが素朴なゴスペルを収録したNoneSuchの「リア
ル・バハマ」というCDです。カントリーとゴスペルは関係ないと思っていましたが、意外に強い影響があるのかなと感じました。
知らないところで色々と繋がっているようです。
The Real Bahamas / VolumeU
NoneSuch , WPCS-5247 , 1965現地録音
ジョセフ・スペンスとピンダー・ファミリー : 唄、ギター / 他
マリアとヨセフ 他 全14曲
バハマの宗教音楽、黒人霊歌を現地録音したCDです。これらの音楽は米国の初期の素朴なゴスペルと同じスタイルだそうです。宗教音楽といっても堅苦しいものではなく、のんびりした開放感あふれるものです。その、ゆったりとした幸福感が、まぶしく感じます。
本CDは古いモノラル録音ですが、音は悪くなく、ジョセフ・スペンスのギター弾き語りや女性の唄などは魅力的です。
のんびりした幸福感を味わいたい人に、お薦めです。