ペルー

太陽の帝国 - インカ文明の音楽遺産

Nonesuch , WPCS-10744 , 1969現地録音

ケチュア族、アイマラ族の人々 : 唄、アルパ(ハープ)、ケーナ、シーク(パンパイプ)、チャランゴ他

古靴 他 全13曲

インカ帝国の音楽遺産を収録したCDです。1969年に米国の研究家デイヴィッド・ルイストンによって現地録音されたものですが、録音は悪くはありません。アルパ(ハープ)の演奏なども珍しく楽しめますが、最も印象深いものは、日本の祭り囃子を思い出させる笛等の合奏です。ペルーのインディオと日本人は似たような感性をもっているのでしょうか?
本CDは濱田滋郎さんによる分かりやすい解説が付いています。
インカ文明を感じたい人に、お薦めです。

 

 

PEROU - Julio Benavente Diaz

Ocora , C559037 , 1988

Julio Benavente Diaz : 唄、チャランゴ / 他

Color Color Punchituchay 他 全21曲

クスコのチャランゴと唄を収録したCDです。チャランゴとは小型のギター形をした楽器で、1700年頃にボリビア近傍のスペイン人居住地で生まれたようです。演奏者のJulio Benavente Diazは1913年生まれで、貧しい地方の教師をしていたときには教育に音楽を取り入れるなどの工夫をしたようです。
本CDはチャランゴと唄による素朴なフォルクローレですが、その朴訥として瑞々しい演奏は素晴らしく私の愛聴盤です。
飾らない本物のフォルクローレを聞きたい人に、お薦めです。

 



Raul Garcia Zarate /Guitarra del Peru 

テイクオフ, TKF-2911 , 1997

ラウル・ガルシア・サラテ : ギター

太陽の乙女たち 他 全16曲 

ペルーのギター演奏を収録したCDです。
Raul Garcia Zarateはペルー、アンデス地方の都市アヤクーチョ生まれの有名なギタリストです。本CDではアンデス民謡をギター独奏していますが、とても洗練された編曲と技術により、民謡というよりも西洋クラシック的な印象もあります。
このような演奏は、品評会に出品される菊のようなものかなと思いました。ていねいに手間をかけて、見事に咲かせた大輪は素晴らしいのですが、普通の人には高値(高嶺)の花のような気もします。
ラウル・ガルシア・サラテを聞いたことが無い、クラシック・ギター演奏者やフォルクローレ愛好者は、一度聞かれると良いと思います。

 

HUAYNO Music of Peru -Vol.1

Arhoolie , CD320 , 1989(1949-1989年IEMPSA原盤)

El Cholo Chanka, Conjunto Musical Amauta, La Huaricinita, La Pallasquinita, Trio Lira Paucina, Trio Amanecer, Fabian Ochoa, Nelly Munguia, Amanda Portales, Manuel Silva, Julia Illanes, 他 : 唄、演奏

Rio De Paria 他 全223曲 

ペルーのアンデス地方の民謡ワイノを収録したCDです。HUAYNO(ワイノ)とは古いインカのダンスが起源のようですが、現在では本CDに集められたような音楽を示す言葉だそうです。本CDは1949年から1989年に発売された録音を集め、歌詞の英訳や解説を付けてあります。明確な録音年が示された曲は少数ですが、古いものから順番にならんでいるようです。
古い録音では、甲高い声を張り上げたような荒々しい曲が多いのですが、新しくなると一般的なフォルクローレという感じの洗練された曲が多くなります。甲高い女声を聞くと、中国の歌を思い出してしまいました。数曲は、ドン、ドンという単調なリズムで原始的な感じのものもあります。
このような音楽は、町の花屋で売っている菊のようなものかなと思いました。普通の人の好みに合わせて作られた音楽ですが、一部には野菊のようなものも含まれています。

 

The Rough Guide to Afro-Peru

World Music Network , RGNET1088CD , 2002

Susana Baca / Peru Negro / Chabuca Granda & Oscar Aviles / Eva Ayllon / Lucila Campos / 他の全18曲

ペルーの黒人音楽を収録したCDです。アフリカ音楽とアンデスのフォルクローレが混じったような独特の哀愁を帯びた、とても魅力的な音楽です。
本CDは洗練されたアレンジによる唄、演奏が多く、楽しめます。特にSusana Bacaの唄などは私好みで、何回も聞いてしまいました。
アフロなフォルクローレを聞きたい人に、お薦めです。

 

Chabuca Granda

Sony(Argentina) , microfon 2-493591 , 2000

Chabuca Granda : 唄 /  他

Coplas a Fray Martin 他 全10曲

ペルーの女性歌手チャブーカ・グランダのCDです。チャブーカ・グランダは50年以上に亘り、vals(ペルーのワルツ)、musica criolla、landos(ペルーの黒人民謡)を唄ってきました。彼女は作曲もしたようで、本CDでは自作を主にピアソラの曲などを唄っています。アルゼンチン盤ですが音は良く、解説は付いていません。
渋く落ち着いた声と、南米フォルクローレの香りがする哀愁を帯びた曲が魅力的です。
チャブーカ・グランダを知りたい人に、お薦めです。

 

Susana Baca / Vestida de Vida

harmonia mundi , HM76 , 1991/2001

Susana Baca : 唄 /  他

Canto a Eleggua  他 全15曲

ペルーの女性歌手スサーナ・バカのCDです。本CDはフランス盤のため解説が読めないのですが、ペルーの伝統曲や南米各国の黒人に関する曲を唄っているのだと思います。
哀愁を帯びた唄と洗練されたアレンジによる伴奏です。
スサーナ・バカを知りたい人に、お薦めです。

 

Armonia Musical

Discos Mag, LPN MAG2076, 1960年代?

Alberto Beltran :唄、 Lucho Macedo :ピアノ /他

El Telegenico 他 全12曲 

サルサのLPです。1960年代と思われる古いペルーのLPから古さを感じさせない洗練されたサルサが聞けるとは思いませんでした。陽気な娯楽音楽の典型と言えるような演奏ですが、リゾート・ホテル風の表紙写真と、「テレビジョン」と連呼しているように聞こえる歌詞が印象的です。
話は変わりますが、近頃のテレビの娯楽番組を喜んで見ている子供達の将来を考えると、悲しい気持ちになります。大人は何を見ようが本人の責任だと思いますが、子供達も見ることを考えれば、愚劣で良識を欠いたようなテレビ番組が社会に与える影響は非常に大きいと思います。
娯楽番組に比べれば、娯楽音楽は罪が軽いような気がします。