JAZZ



Classic Jazz (Revised)

Smithonian, R033 , 1987 

Scot Joplin , Jelly Roll Morton, Bessie Smith, King Oliver's Creole Jazz Band, Red Onion Jazz Band, Sidney Bechet & His Blue Note Jazz Men, James P.Johnson, Louis Armstrong & His Hot 5, Louis Armstrong &Earl Hines, Frankie Trumbauer & His Orchestra, Jimmie Noone's Apex Club Orchestra, Fletcher Henderson & His Orchestra, Red Nichols & His 5 Pennies, Bennie Morten's Kansas City Orchestra, Fats Waller, Meade 'Lux' Lewis, Benny Goodman Trio, Coleman Hawkins & His Orchestra, Billie Holiday & Her Orchestra, Ella Fitzgerald, Art Tatum, Jimmie Lunceford & His Orchestra, Gene Krupa & His Orchestra, The Chocolate Dandies feauturing Roy Eldridge & Benny Carter, Lionel Hampton & His Orchestra, Quintette of the Hot Club of France, Count Basie & His Orchestra, Bennie Goodman, Charlie Christian, Duke Ellinton & His Orchestra, Don Byas & Slam Stewart,Dizzy Gillespie, Charlie Parker, Errol Garner, Bud Powell, Dexter Gordon, Tadd Dameron, Miles Davis, Lennie Tristano, Gene Norman, Red Norvo, Stan Getz, Sarah Vaughan, Thelonious Monk, Horace Silver, Gil Evans, Charles Mingus, Modern Jazz Quartet, Sonny Rollins, Wes Montgomery, Bill Evans, Cecil Taylor, John Coltrane, Ornette Coleman, World Saxophone Quartet

クラシック・ジャズを集成したLPです。クラシック・ジャズとは何かなと思いました が、上に列記したような、古くはスコット・ジョップリンから最新ではワールド・サキソフォン・カルテットまで、ジャズの古典となるであろう演奏 (Martin Williams選択)を意味するようです。興味深い写真も掲載された120ページの解説本が付いています。米国スミソニアンの力によりオリジナル音源 を集めたためか音質は良いのですが、プレス品質が悪くノイズの発生する気泡等が散見されます。これはLP7枚組みですが入手可能ならばCD5枚組のほうが 良いと思います。
私は1950年以前のJazz演奏は殆ど聴いたことがなかったのですが、本LPでドン・バイアスの1945年6月9日の演奏の素晴らしさに驚き、同時 期の似たメンバーによる右LPを入手しましたが凡庸な演奏でガッカリしました。
http://www.youtube.com/watch?v=yniHs6Xp1EU
Jazzの面白さは、突然、何かに憑依されたような凄い演奏が生まれることですが、他の奏者も、多分、最良のトラックを選択してあるのでしょう。
これを聴き通して感じたことは、Jazzは怖い音楽だということです。学生時代にはポップスより難しい高級な音楽だと思い生意気にジャズ喫茶に 通っていましたが、その頃吸っていたタバコをやめるのに苦労しました。Jazzもタバコと同じで、一度好きになると、その固定観念による影響を脱する のに苦労します。Jazzに取り付かれてしまった人は本コレクションを聴いて、客観的にジャズと自己を見つめなおすことが必要かも知れません?(私も色々 と混乱しており、素直な心でジャズを聞けるようになるには時間がかかりそうです)

Jazz Vol.1 - The SOUTH 

Folkways, FP53 , 1950

Hollers, Work Songs, Breakdown, Blues, Party Dances, Rag, Creole,Church Meetings, Boogie-Woogie

楽器:タンボリン、ピアノ、String Band, Novelty Band, Jazz Trio, Guitars, Mouth Harps, Washboards, Bones, Jugs, Wind Instruments

I can't feel at Home 他 全12曲 

 ジャズの起源を紹介したLPです。米国南部の黒人の様々なスタイルの唄を収録した 1950年のFolkway盤で、Moses Asch とCharles Edward Smith によるA4版8ページの詳細な解説が付いています。解説に拠れば、ジャズはニューオーリンズで生まれたという定説はあっても、実際は本LPで紹介されてい るような複雑な起源を持っているようです。
私は真面目に解説を読んでいませんが、本LPを聞くとJAZZとは何なのかが分らなくなります。

最近ユー・チューブを見ると、面白い音楽に出会いま す。録音機材が安価になり、才能さえあれば誰でも自由に音楽を作り発表できる環境が整ってきた結果だと思います。
以下のビデオは、とても繊細な感性で多重録音された唄で、新しい時代のJAZZという感じでしょうか?(2010.08.09)
   My Favorite Things - Sound of Music

 

Ella at Juan-les Pins 

ヴァーヴ(日本グラモフォン), SMV-1037 , 発売年の記載なし(1964年録音)

エラ・フィッツジェラルド:唄/ ロイ・エルドリッジ:tp /トミー・フラナガン:p /他

You'd be so nice to come home to 他 全12曲 

 ジャズ歌手Ella Fitzgerald (1917-1996)のLPです。1964年フランスのジュアン・レ・パンでの実況録音でロイ・エル ドリッジ・クァルテットの伴奏です。スミソニアン・コレクションには本LPのYou'd be so nice to come home toが収録されており、エラの録音の中でも最も優れたトラックの一つでしょう。屋外の実況録音のためか、いくらかスッキリした音ですが、良い録音だと思い ます。(これは日本盤ですが米国スミソニアン盤との音質差は感じません。現在は2枚組のCDが発売されているようなのでCDを入手したほうが賢明だと思い ます)
http://www.youtube.com/watch?v=1woY-AYrYvw
 私の聞いたエラのライブ盤は皆、素晴らしいのですが、本ジャズ祭での彼女は特に絶好調のようです。後半では感極まって泣きながら笑ったり、 Cricket(声の良いコオロギ)を自分に重ねて即座に作った曲を歌ったりしています。
 エラのライブ録音には、歌いながらサンキューと言って観客との交流を楽しんでいるような場面が良く出てきますが、彼女は歌うことでハッピーになる術を心 得ていたのだと思います。彼女が喜びを持って歌えば、観客からも生き生きとした反応が帰ってくるのです。


 

Ella Fitzgerald - Louis Armstrong

Verve , 835313-5 , 1988(1956,1957録音)

Louis Armstrong :唄、トランペット / Ella Fitzgerald :唄 / Oscar Peterson :ピアノ / Herb Ellis :ギター / Ray Brown :ベース / Buddy Rich :ドラムス

Cheek to Cheek 他 全12曲 

 ルイ・アームストロング(1900?-1971)とエラ・フィッツジェラルド (1917-1996)のデュオを収録したCDです。1956年から1957年に録音された3枚のLPから選択された12曲を、CDらしい安定した良い音 で楽しめます。エラとルイは唄のスタイルは違うのですが、本質的な部分で相通じるものがあるようで、ほのぼのとした良い雰囲気で唄っています。
 米国の1800年代には黒人奴隷の生活を歌やユーモアで描くミンストレル・ショーが流行してい たそうで、私の勝手な想像では、ルイ・アームストロングはその古い香りを残している人ではないかと思います。黒人奴隷というと窮乏した生活やリンチなどと いう暗い面しか思い浮かばない人が殆どでしょうが、気楽で楽しい面もあったのだと思います。人に仕えることを厭わず、さらに、人のために色々な事をしてや るのが好きな信心深い人であれば、御主人様が多少非道い人でも、奴隷として楽しい生活を送ることは可能でしょう。
 人を楽しませることが好きという本物のエンターテイナーは、そのような生活から生まれるような気がしますし、本物の幸福は人に仕えることが喜びとなった 人のものです。

 
ルイの唄う「この素晴らしき世界」をユーチューブで聞いて感動しました。


 

Thelonious Monk /London Collection vol.3 

Black Lion, BLCD760142 , 1989(1971録音)

Monk : ピアノ / 他

Chordially 他 全11曲 

モンクが1971年にロンドンで収録したCDです。私は最近モンクに興味を持ち、5枚 ほどのCDを入手して聞いてみましたが、本CDに収録されているChordiallyというトラックを聞いて驚きました。これは録音開始時のウォーミン グ・アップ用ピアノ独奏らしいのですが、静謐で調和のとれた演奏で、1950年代の刺激に満ちたモンクとは印象が異なります。穏やかな早春の日差しのよう な音楽です。
http://www.youtube.com/watch?v=MeY1C_jfXPM
Thelonius Monk (1917-1982)には本録音以降の演奏 は少なく、晩年のモンク夫妻はパトロン女性(ニカ夫人)の家で暮らしました。
ニカ夫人(1913-1988)は有名なユダヤ系富豪ロスチャイルド一族で、働く喜びという幸福を 得ることの妨げとなる巨万の富に悩まされましたが、憧れの情熱や自由という雰囲気を持つジャズを愛しました。ジャズには心の傷を 癒すパワーがあり、モンクのピアノを聴いた時に「もう、いいんだよ」という許しを感じ、泣いたそうです。
彼女はJAZZに無償の愛を感じ、恩返しとしてモンクの最期を看取ったと述べています。(2010.02.06)

ニカ男爵夫人は、大富豪ロスチャイルド家の一族であることが、想像できないほど窮屈なもので、それを救ってくれたの がジャズだということを、次にように語っています。

「有り余るお金に囲まれて暮らすということが、どれほど退屈で窮屈なものか。
要するに、いくら巨万の富があってもしあわせにはなれないということです。
それは、日常の小さな幸せを感じることができないからです。
たとえば、友人とセーターを買いにいくとしましょう。
彼女は自分に似合うものを選ぶのにいろいろ迷います。
しかし、私は迷う必要がないのです、全部買って帰ればよいのですから。
名前を言えばお金を払う必要すらありません。
そのとき私が失うものは選択眼と友人の両方かもしれません。
それに、お金がなければ、がんばって働こうと思いますが、先祖は違っても、私たちの代になると勤労意欲とは無縁です。
働く必要はないのですから何もすることはありません。

そんな私の心を捉(とら)えたのがビバップと呼ばれるジャズでした。
あの疾走感や高揚感が、私の心の欠けていた部分をうめてくれたのです。
ビバップの創始者たち、チャーリー・パーカーやセロニアス・モンクとは特に親しく、暖かな友情を育みました。
スタンホープ・ホテルの部屋でジャム・セッションを開き、食べ物もふんだんに用意して、一緒に酩酊(めいてい)したものです。
そのため、私はビバップ男爵夫人などと呼ばれました。
ジャズには、私があこがれるすべての要素がありました。
熱気、自由、即興、旋律にしみこんだ涙、ばか騒ぎ、楽しい仲間、音楽に対する献身。
といっても、私はすぐにジャズを理解したわけではありません、
実際、わからなかったのです。
でも、わからないから惹かれるということがあるじゃないですか。
わかりやすいスイング・ジャズには惹かれなかったのに、複雑で難解なビバップに魅了されてしまいました。
しかし、それ以上に、ジャズには私の心の傷を治すパワーがあったのです。
セロニアス・モンクのピアノを聴いていると、
「もういいよ、もういいんだよ」という許しを感じました。
チャーリー・パーカーのアルト・サックスには、生きる喜びを教えてもらいました。
ロスチャイルドのはみだし娘が、ジャズに助けてもらったのです。
私は、ジャズ・ミュージシャンたちに囲まれて、心からリラックスし安心していられたのです。
ジャズは私の恩人なのです。
恩人にお返しをするのは、当たり前のことです。」

IT'S MONK'S TIME

Columbia, CK63532 , 1964録音

Thelonious Monk : Piano , Charlie Rouse : Tenor Saxophone , Butch Warren : Bass , Ben Riley : Drums

LuLu's Back in Town 他 全9曲

モンク4重奏団の1964年録音のCDです。最近、モンクのコロンビア録音のCD3枚を送料込み2千数百円と安価に入手しましたが、全て名盤と言って良い内容なので、どれを紹介しようか迷っ たのですが、最も印象に残ったトラックLuLu's Back in Townが入っている本CDを紹介します。
1964年頃のモンクは絶好調だったのか、不協和音だらけの素晴らしい演奏です。わざと外した音が百発百中というのか、どのような音を出してもピタリとハ マルという感じです。同年の「MONK.」というCDに収録されたLisaという曲の副題All The Clouds'll Roll Awayを見て、モンクの心境を暗示しているのかなと思いました。不安感など全く感じられない演奏です。
チャーリー・ラウズのテナー演奏も素晴らしく、全員一丸となった自由で生き生きした音楽で、これらのCDを聞くのは、最近の楽しみです。モンク及び JAZZを代表する名盤だと思いますし、現代音楽の演奏記録としても後世に残るものだと思います。(2010.03.28)

以下に印象に残ったモンクの映像を紹介します。

Rhythm-n-ning / 1961
http://www.dailymotion.com/video/xb5v0r_rhythmnning-thelonius-monk-1961_music
 1961年オランダでのセロニアス・モンク4重奏団です。モンクは難解なJAZZの代表という感じで、ソロは好きでしたがグループ演奏は馴染めませんでした。ソロ演奏 では必要最小限の音しか出さない訥弁の演奏なので、モンクはピアノ演奏がヘタなのではないかと疑っていましたが、本映像を見るとヘタではないことが実感で きます。「モンクは自分で何をしているのかを理解していないのではないか?」という評論もあったと思いますが、私は逆に、モンクは理知的な人なのではない かと思うようになりました。観客はオランダのお金持ちのようですが、楽しく聞いている人は少なそうです。楽しそうなのはドラム奏者だけで、この演奏からリ ズムを外せば、各奏者がバラバラになってしまいそうな映像ですが、音楽は逆に、全員一丸となったドライブ感の強いものです。
 ルイ・アームストロング的な音楽とは全く異なりますが、過激でユニークな演奏が非常に面白く感じました。刺激に満ちた都会の騒音を模倣したような凄まじ い音楽で、古いJAZZ奏者が動物の鳴声を模倣していたのを思い出しました。モンクの伝記映画などを見るとロスチャイルド一族のパトロン女性(ニカ夫人) が出てきたりして興味は尽きないのですが、外面的な事実だけではモンクの苦悩とその音楽を理解できないような気がしました。

Lulu's Back In Town / 1966
http://www.dailymotion.com/video/xi9gh_thelonious-monk-lulus-back-in-town_music
 1966年ポーランドでのセロニアス・モンク4重奏団です。
1958年の演奏に比べ、ずいぶん アク抜けし洗練された印象があります。Thelonius Monk (1917-1982)には1971年以降の録音が殆ど無いので、後期の演奏記録でしょう。各奏者 の演奏技術も高く、現代音楽の模範演奏例として後世に残りそうな映像です。

Blue Monk / 1958
http://www.dailymotion.com/video/x18qmr_blue-monkthelonious-monk_music
 1958年のセロニアス・モンクです。
真夜中の地下室に、あやしい人々が集まり風変わりな音楽 を聴いている、という感じの映像で、絶好調のモンクはサングラスを掛けて好き勝手な演奏をしています。アクの強い、真っ黒な地下音楽(アンダーグラウン ド・ミュージック)です。


The World Saxophone Quartet / Steppin'

Black Saint , 120 027-2, 1979

David Murray : テナー・サックス、バス・クラリネト/ Oliver Lake : アルト&ソプラノ・サックス / Julius Hemphill : アルト&ソプラノ・サックス / Hamiet Bluiett : バリトン・サックス、フルート

Steppin' 他 全6曲

30年以上前の学生時代にジャズ喫茶でワールド・サキソフォン・カルテットのLPを聴 いていた時の不思議な体験を紹介します。
説明し難いのですが、音が聞こえると同時に音が見えました。和太鼓奏者の林英哲さんは演奏会で「調子の良い時には音が風船のように見える」と話されていま したが、私は「どのような形の音が見えたの?」と質問されても「演奏者相互の応答(呼応)が形として見えた」としか回答できません。
その後は、音が見えると感じたことはなく、不思議な体験でした。
上記CDを聞き返してみても、音は見えませんが、政治討論会のような意味不明の話し合いというか、烏合の衆の大騒ぎのような音楽が聞こえます。難解な音楽 だと思っていましたが、内容がない会話なので理解不能なのかも知れません。
昔は、上記CDと同様に難解な音楽だと思っていたモンクの演奏が、最近、子供が遊んでいるような単純でユーモアも感じる魅力的な音楽だと気づいたのとは印 象が全く異なります。
音が見えるというのは特異な状況でしたが、今でも、感受性が高い時と低い時では、同じ音楽を聴いても、異なる印象を受けます。体調が良いときには音楽が良 く聞こえますが、体調だけではなく、先入観を捨てた素直な心で音楽を聞くことが肝心なのではないか?と思うようになりました。(2010.05.30)


Pearl Bailey /ABROAD 

Roulette, R-25012 , 1957.5.13〜14 NewYoukで録音?

Pearl Bailey : 唄/ Charlie Shavers (tp) Seldon Powell, Santo Russo, Seymour Press, Danny Banks (sax) Ben Phillips (p) Al Caida, Joe Puma (g)All Hall(b) Louis Bellson (dms)

Mambo, Tango, Samba, Calypso, Rhumba Blues 他 全12曲 

ジャズ歌手パール・ベイリーのLPです。Pearl Bailey(1918-1990)は女優もしたようですが、ブルースの女王ベッシー・スミス(1894-1937)を思い出すような力強い歌声が印象的 です。最近は、本LPのような音楽がジャズの保守本流なのではないかと思うようになりました。少しアクが強い感じもしますが、魅力的なボーカルと演奏が楽 しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=losBdrQh8JE
http://www.youtube.com/watch?v=Nleb66k9Ses
本LPはオリジナル盤と呼ばれるものかも知れません。ボロボロのジャケット裏に演奏者名と録音日と思われる書き込みがあります。これが本当なのかを判別す る知識はありませんが参考となる人もいるかと思い、上に書き写しました。私にはオリジナル盤を集めるというような高級な趣味はありませんが、多少高価でも 面白い書き込みなどがあるLPを購入することはあります。(これは1500円程でした)

(2009.11追記)右写真に示すお城のようなカナダのバンフ・スプリングス・ホテ ルでお茶を飲んでいた時、本LPの収録曲が聞こえてきて、海外旅行気分に良く合った音楽だと感じました。今では一般庶民でも海外旅行へ行けますが、 1950年頃の海外旅行はお金持ちだけの特別な娯楽だったのでしょう。(今でも、このホテルには我侭なお金持ちが集まっているような雰囲気があったので、 私は早々に退散し、山歩きに戻りました。清清しい空気と神々しい景色でリフレッシュできました。)



Rose Murphy  

MCA, VIM5609 , 1982(1950-1961録音) 

Rose Murphy :ピアノ、唄 / Slam Stewart : ベース、唄 /他

I can't give you anything but Love 他 全14曲 

ピアノ弾き語りのローズ・マーフィーのLPです。Rose Murphy(1913-1989)は可愛らしい赤ちゃん声(舌足らずな甲高い声)で唄う女性歌手です。本LPは1950〜1961年のDECCA録音を 集めたベスト盤ですが、1961年録音では唄うベース弾きスラム・ステュワートと共演しています。
Slam Stewart(1914-1988)はユーモラスな演奏スタイルのベース奏者で、彼女とは「おとぼけコンビ」と呼ばれたそうですが、ドン・バイアス の1945年6月9日の素晴らしい演奏を引き出したこともある名手です。
http://www.youtube.com/watch?v=vl0DdjIcEy0
https://www.youtube.com/watch?v=eUKzOOGWM2g

このような、のんびりした幸福感の溢れた演奏は、真面目にジャズを追求している人からは「ふざけている」と叱られたり、「エンタテイナー」とバカにされた りしそうですが、私には「本物」が持つ魅力が感じられ、忘れられてしまうのは淋しい感じがします。
http://www.youtube.com/watch?v=4KTalrymZ9k


ビリー・ホリディ / アット・カーネギー・ホール

Verve , POCJ2379 , 1956年録音

Bille Holiday : 唄 / チコ・ハミルトン他、演奏

ボディ・アンド・ソウル他 全13曲

ジャズの代表的女性歌手ビリー・ホリディ(1915-1959)のCDです。1956 年のカーネギー・ホールにおけるコンサートを収録したもので、司会による彼女の自伝「奇妙な果実」の朗読と、ビリーの唄が交互に収録されています。黒人へ の迫害、商業主義による搾取や麻薬の犠牲者とも思えるビリーの唄からは、怒りや悲しみよりも純粋に唄うことの喜びが感じられ、涙なしには聞けません。
彼女のCDには録音が悪いものや、不調の時のものが多いのですが、私は、このCDによってビリーの素晴らしさ、すごさを知りました。
偉大なジャズ歌手を知りたい人に、お薦めです。

以下で彼女の唄う You Don't Know What Love Is が聞けます。(上記CDとは別録音です)
http://www.youtube.com/watch?v=avUXnAMpFoo&feature=related
ヨハネの手紙4.7-21で「神は愛」であることが説かれています。しかし、ビリー・ホリディが唄うように、愛が何であるかを知る人は多くないようにも思われます。


Got You on My Mind

Waking Up Music, ? , 2003/2004

William Galison : 唄、ハーモニカ、ドブロ等 / Madeleine Peyroux : 唄、ギター / 他

Back in your own Back Yard 他 全11曲

古いアメリカの流行曲(Rag等)を収録したCDです。フランス語で唄われる曲もあ り、ヨーロッパの香りがする、ジャズの源流の一種ではないかと思います。
本CDは、不思議な浮遊感を持った軽妙な演奏です。古き良きアメリカを感じさせる
マデリン・ペルーの唄が魅力的で、リラックスして楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=_CbGDbC8p6E
お気楽にジャズを聴きたい人に、お薦めです。


Jazz workshop Vol.3

debut, DLP15(OCJ-1701) , 1985(1954録音) 

ada moore : 唄 /John la Porta : サックス /Tal Farlow :ギター /Oscar Pettiford : ベース /他

Summertime 他 全6曲 

美人歌手Ada Moore他によるジャズ演奏を収録したLPです。これはCharles Mingus主導によるJazz研修会の記録であり、解説にはReal  Jazz Feelingのために音程や調性をズラスような編曲がなされたと記載されています。つまり演奏者は不調和でヘタに聞こえるような演奏を強いら れていたわけですが、それにより独特なブルーな雰囲気、ミンガスの言う本物のジャズ・フィーリングを生み出しているようです。
http://www.youtube.com/watch?v=_gzRC6UT2NY
音の合わない演奏が嫌になっているような伴奏者もいますが、不調和に苦しみながらも懸命に唄われる哀しい唄が心に沁み
ます。
今までミンガス名義の盤は嫌っていたのですが、本LPを繰返し聞いているうちにミンガス先生の良さがわかるようになりました。


Positively The Most

Warner Bros.(日本), P-7708 , 1960 

Joanie Sommers :唄 /他

What's New 他 全12曲 

美人歌手ジョニー・ソマーズの初LPです。これはジャズではないとミンガス先生に叱ら れそうですが、一般的にはジャズ・ボーカルで通ります。多くの人に好まれるようで最近購入した本中古盤も1500円程と私にとっては高価でした。
ソマーズは初吹き込みのためか、一生懸命に唄っているという雰囲気が感じられます。けなげで可憐なところが魅力的ということでしょうか。
ケーキのように甘い音楽なので、コーヒーのような苦い音楽の合間に聴くとホッとします。(但し、甘いものは程々にしないといけません)


Betty Carter

Bet-Car , MK1001 , 録音年の記載なし

Betty Carter : 唄 / Norman Simmons : ピアノ / Lysle Atkinson : ベース / Al Harewood : ドラムス 

Body and Soul 他 全11曲 

ジャズ・ボーカルの代表的女性歌手ベティ・カーターです。このLPはニューヨークの Vanguardで行われた誕生パーティーでの録音で、ベティ・カーターの個人レーベルから出された最初のものです。録音も盤質も悪いのですが、Body and Soul からHeart and Soul へバラードを歌い継ぐ部分がスリリングで素晴らしく、何回聴いても飽きません。ベティ・カーターは乗りの良い器楽的な唄で有名ですが、私は静かなバラード のほうが好きです。


It's Your Dance 

Sunnyside , SSC1011 , 1985年録音

Meredith d'Ambrosio : 唄とピアノ / Harold Danko : ピアノ / Kevin Eubanks : 電気ギター 

Giant Steps 他 全16曲 

女性ジャズ・ボーカルのLPです。とても自然に唄っており、ピアノやギターの伴奏も控 えめで、静かに心地よく聞けます。Betty Carterが技巧的なジャズ・ボーカルの代表だとすれば、Meredith d'Ambrosioは正反対の素朴で自然な印象ですが、両者ともに素直に個性を出しているというような安心感があります。


Sonny Rollins / The Standard 

RCA , RJL-2511 , 1964年録音

Sonny Rollins : テナー・サックス / Bob Cranshaw : ベース / Mickey Roker : ドラムス /他

Autumn Nocturne 他 全10曲 

サックスの巨人ソニー・ロリンズのLPです。このLPは聴いていて「すごい」と感じる 時と「捕らえどころがない」と感じる時があります。「すごい」と感じても、何が「すごい」のかよく分かりませんが、自分の調子が良いということは分かりま す。ロリンズの演奏は捕らえどころがない茫洋とした感じもあるのですが、音と音の微妙な呼応とかバランスというような部分に特色があるのかも知れません。

Roland Kirk - Domino

Mercury , 826 988-2 , 1962録音

Roland Kirk :テナー・サックス等、 Andrew Hill :ピアノ /他

Get Out of Town 他 全14曲 

ローランド・カークは盲目のサックス奏者です。3本の楽器を咥えて演奏するためゲテモ ノ扱いされた時期もありましたが、最近は人気があるようで昔集めたLP等は他人の手に渡り本CDのみが手元に残りました。本作品の他に「あふれ出る涙」と いうカークの代表作がありますが、本作品を聞いても「唄」があふれ出てくるような演奏に圧倒されます。日本の伝統音楽は盲目の人々によって洗練されてきた ような感じもするのですが、盲目の人は音に敏感で、外見を気にせず本質を感得できるという利点がありそうです。涙とともにあふれ出て来る音楽がニセモノと は思えません。
凡人の私には「これは何だ?」と理解できないカークの作品もありましたが、本作品は多くの人に良さがわかるストレートなジャズ演奏です。

フレッド・アンダーソン - バードハウス

BOMBA , BOM-570 , 1995年録音

Fred Anderson :テナー・サックス、 Jim Baker :ピアノ 、 Harrison Bankhead :ベース、 Haid Drake :ドラム

BirdHouse 他 全4曲 

フレッド・アンダーソンは1929年シカゴ生まれのサックス奏者です。20代のアン ダーソンは有名ミュージシャンのコピーではなく独自性の追求へ進んだため、仲間から孤立し嘲笑されたそうです。その後もシカゴで3人の子供を養うために カーペット敷設とウェイターの仕事もしながら地道な音楽活動を続けました。本CDは16年ぶりのリーダー作品で、録音時には65歳でした。
http://www.youtube.com/watch?v=jHOruErHVCA
フリー・ジャズという感じの演奏なので一般受けすることはないでしょうが、独特の味があるので紹介します。多くのフリー・ジャズが荒涼とした演奏で無味乾 燥であるのに対し、アンダーソンは丁寧な演奏で暖かい人柄を感じさせます。本CDでしかアンダーソンの演奏を聞いたことがない私は独特の語り口に慣れてい ませんが、素直な心で聞くことができる人には本演奏の素晴らしさが身に沁みると思います。

Archie Shepp Quartet / Parisian Concert, Vol.2 

impro , IMPRO 03 , 1977年録音

Archie Shepp : テナー&ソプラノ サックス /Siegfried Kessler : ピアノ / Clifford Jarvis : ドラムス 

U-Jaama 他 全5曲 

サックス使いの呪術師?アーチー・シェップのLPです。パリでの実況録音ですが、とて も熱い演奏が楽しめます。ブーブー、ガシャガシャとウルサイ演奏ですが、慣れると心地よくなります。アフリカでは呪術師、魔法使いという人々がブーブー、 ガシャガシャした音を出して病気の人を治療するようですが、シェップも呪術師の仲間でしょうか?

Andrew Hill / Hommage 

EastWind , EW-8017 , 1975年録音

Andrew Hill : ピアノ

East 9th Street 他 全7曲 

左がアンドリュー・ヒルののLP、右がセロニアス・モンクのCD(Solo on Vogue :1954年録音)です。訥弁のソロ・ピアノで、必要最小限の音を使った演奏ですが、両者ともソロ・ピアノの名手だと思います。特にモンクは、くせの強い 演奏なので慣れるまで時間がかかりますが、良さが分かると聞き飽きません。ヒルのLPは日本のレーベルによるものですが録音が素晴らしいと思います。

 

Phineas Newborn Jr. / A World of Piano 

Contemporary , S7600 , 1961年録音

Phineas Newborn Jr. : ピアノ / Paul Chambers : ベース / Philly Joe Jones : ドラムス /他

Oleo 他 全8曲 

左がフィニアス・ニューボーンのLP、右がジェフ・キーザーのCD(turn up the quiet :1996年録音)です。饒舌なピアノ演奏ですが、両者とも才能豊かなピアノの名手だと思います。ニューボーンは精神的な病気で苦しんだようですが、ハッ とするような閃きのあるフレーズが魅力的です。(私はルーレット時代のバラード演奏のほうが好きですが手元にLPがありません)キーザーのCDは日本の俳 句も素材にした面白い演奏ですが「静かに!」というタイトルも面白いと思います。

Stanley Cowell - Hear Me One

Steeple Chase , SCCD31407 , 1997

Stanley Cowell :ピアノ、 Bruce Williams :アルト・サックス 、Dwayne Burno :ベース、Keith Copeland :ドラムス

Tinged 他 全8曲 

 スタンリー・カウエルのピアノを中心とした4人組のCDです。Cowellのピアノ演奏は知性的でありながらユーモアを感じさせるような、軽快で暖かな印象があるので昔から好きでしたが、本CDは彼の様々な スタイルの演奏が集めてあり1枚だけカウエルのアルバムがほしいという人にはお買い得だと思います。
 Cowellはスピリチャル・ジャズと呼ばれるようですが、特にスピリチャル(黒人霊歌)の香りがするわけでもない ので、なぜスピリチャル・ジャズと呼ばれるのか不思議です。
 本CDのタイトル「Hear Me One」の意味は、以下2つのどちらかでしょうか?
1)私の演奏を一つ聴いてね。
2)「世界全体はつながっており神を中心とした一つの生命」というスピリチャルな気持ちを自分の中に感じてね。



42 Mother Goose Songs 

Judson, J3024 , 1960年頃? 

Alec Templeton :ピアノ、唄

マザー・グースの歌  全42曲 

盲目のピアニストを紹介します。アレック・テンプルトン(1909-1963)は英国 ウェールズで生まれた音楽家で、米国のラジオ番組などで活躍したそうです。生まれたときから盲目ながら正式な音楽教育を受け作曲もしたので、クラシック 畑の音楽家に分類されるのでしょうか?
本LPでは子供向けにマザーグースを唄いながらピアノ演奏もしています。子供を笑わせようとか、驚かせようという優しい気持ちが感じられる演奏なので すが、大人も十分楽しめる質の高いものだと感じました。
http://www.youtube.com/watch?v=WjjJ8WJ30PY
http://www.youtube.com/watch?v=4HDZ5S8EAkk
私はAlec Templetonのことを知らなかったので調べた所、本LPの情報は見当たらなかったのですが、以下のJazz演奏を見つけました。
http://www.dailymotion.com/video/x15poc_moonglow-alec-templeton_music
本LPで特筆すべきは盤の品質が非常に高いことです。同様のものは特別注文により少数プレスされた日本盤1枚しか見たことがありません。このJUDSON というレーベルは受注生産品だったようで、多分、ニューヨークのお金持ちが子供のために注文したものでしょう。それが日本に渡り、最近500円程で私が入 手したことに不思議な縁を感じたので紹介しました。

Gene Rodgers /After Hours 

Black & Blue, NLP7507 , 1972録音

ジーン・ロジャース :ピアノ /スラム・スチュアート  : ベース /ジョー・ジョーンズ:ドラムス

Body and Soul 他 全7曲

ジャズ・ピアニスト、ジーン・ロジャースのLPです。Gene Rodgers(1910-1987)はレコードが少なく有名ではないと思います。私も聞いたことがなく、ベース伴奏がスラム・スチュアートだったので本LPを購入しま した。本LPはフランスのレーベルBlack & Blueによる欧州JAZZ風味の良い録音です。
ジーン・ロジャースはブルースやブギ・ウギ・ピアノが得意だったということですが、本LPでは本格的なジャズ・ピアノが聞けます。面白いのは上手とは言え ない唄を弾き語りしているトラックがあることで、照れながら歌っているという感じなのが御愛嬌です。また、スラム・スチュアートの弓弾きベースと唄を聴き ながら、控えめなピアノ伴奏をしているという感じの部分もあります。
実力がありながらレコーディングに積極的でないジャズメンも多いようで、大衆的な人気を得ることに興味がなくマイペースで演奏するのが好きな人たちなので しょう。