イタリア

イタリアの民族音楽T

キングレコード , KICC 5751 , 2002 (Alan Lomax,Diego Carpitella 1935年〜1967年録音)

Davide Frati : アコーディオン 、Mario Tazzioli :ヴァイオリン  他

踊り歌、楽器、宗教的歌謡 全22曲 

イタリアの伝統音楽の豊かさに驚くCDです。ブルターニュの踊りも思い出させる曲から、口琴、地声の男声4重唱、手回しオルガン、アコーディオン、ヴァイオリン等の器楽演奏から宗教的歌謡まで非常に多様です。ギッシングの「南イタリア周遊記」(岩波文庫)には民謡に関する素晴らしい描写がありますが、このような曲だったのかなと思うと感慨深いものがあります。
このCDは、録音が悪いトラックが多いのですが、日本語の解説も詳細で、千円という値段は良心的だと思います。
本物のイタリア民謡を聴きたい人にお勧めです。

 

voches de sardinna Vol.2

winter & winter , 910 022-2, 1998 

cuncorde de orosei : オロゼイ村の男性5人組み合唱団

虐げられ殺められ 他 全13曲 

サルデーニャ島の男声ポリフォニーを収録したCDです。男声合唱の低音部は押しつぶした咽声(地声)を使った独特の歌い方であり、モンゴルやツバのホーミイの一種を思い出させます。
前編Vol.1は世俗曲を集めていますが、本CDは宗教曲を集めたもので、主にキリスト受難週の儀礼における伝承曲のようです。
世俗の権力により虐げられ殺められた聖なるキリストに対する素朴で力強い祈りです。

 

ARGIA

Robi Droli (New Tone) , nt6713 , 1993 

Alberto Balia : 唄、ギター / Enrico Frongia :唄、ギター /  他

Ita dd'oi est 他 全9曲 

サルデーニャ島の伝統音楽を主に収録したCDです。有名なサルデーニャ島のポリフォニックな男声合唱も含んだ様々なスタイルの曲を洗練されたアレンジで演奏しています。ギター弾き語りの曲が多く、ブラジルの吟遊詩人の演奏(CANTORIAというCD)を思い出しました。
このCDは、聞きやすく楽しめる演奏で、各曲の英語の解説も付いています。
サルデーニャ
民謡を楽しみたい人にお勧めです。

 

Scennenno d'a Muntagna

Robi Droli (New Tone) , nt6719 , 1993 

Giovanni Coffarelli : 唄等 / Franco Salierno:唄等 /  他

Quant'e bello 他 全11曲 

ベスビオ山地の民謡を収録したCDです。男声の唄が主ですが、上の絵にあるような素朴な楽器も使われているようです。酔っぱらいのおじさんがふざけているような、風変わりで聞き慣れない音楽だと思いました。
このCDは、真面目な英語の解説も付いていますが、歌詞の英訳はありません。
風変わりなベスビオ
民謡を知りたい人にお勧めです。

 

TARENTULE - TARENTELLE

harmonia mundi , 190379 , 1977/1999 

Atrium Musicae de Madrid : 演奏(ビオラ・ダ・ガンバ、フルート、携帯オルガン、等)・唄 /Gregorio PANIAGUA : 指揮、演奏

Antidotum Tarentulae 他 全19曲 

イタリアを中心に地中海諸国に古くから伝わるダンス曲Tarantellaを集めたCDです。伝説によると、毒蜘蛛タランテュラに刺されると死の恐怖と動悸亢進でパニックに陥るのですが、これを癒すのがTarantellaという特殊な音楽だったそうです。
このCDは名人による自由奔放な演奏という感じで、面白く楽しめます。色々な音の出る楽器を使い、冗談を混ぜているような生き生きとした演奏ですが、繊細でクラシック的な印象も感じます。
毒蜘蛛タランテュラに刺された
人にお勧めです。

 

LANDINI

Opus111 , OPS 30-112 , 1994 

Ensemble Micrologus : 演奏(ハープ、フルート、携帯オルガン、等)・唄

Salterello 他 全16曲 

イタリアの14世紀の様々な音楽を集めたCDです。Florentine 'Ars Nova'として知られている音楽だそうです。タイトルのLandini(1325-1397)は盲目のオルガン奏者ですが、他に作者不詳の曲なども含まれています。
このCDは表紙を見ると宗教曲が主かと感じますが、聞いてみると太鼓も入った踊りのための曲などが多く収録されており、繊細な演奏というよりも、荒々しく元気のよい演奏です。印象的なのは携帯オルガン(portative organ)の音で、バグパイプとそっくりです。中にはアラブ的な旋律だなと感じる曲もあります。
古いイタリアの音楽を聴きたい人にお勧めです。

 

Nauplia - De Vito & Marcotulli

EGEA , SCA046 , 1995

Maria Pia De Vito: 唄 / Rita Marcotulli: ピアノ / 他

Frastunnatu 他 全10曲 

イタリアのペルージャにあるレーベル(EGEA)のCDを紹介します。クラシックとジャズの中間的なイメージの演奏で、ルネッサンスの作曲家Orlando di Lasso(1532-1594)の曲から民謡風の曲まで幅広く題材を求めています。
驚くのは、Maria Pia De Vitoという女性歌手の音域の広さです。最高音は人間の声というよりも鳥の声のようです。
現代イタリアの知的?な演奏を聴きたい人にお勧めです。