インド

North INDIA - Rudra veena, vichitra veena, sarod, shahnai

UNESCO , D8021 , 1974/1989 

Asad Ali Khan : rudra veena / Mima Das Gupta : tanpura / Gopal Krishna : vichitra veena / Radheshyam : tabla / Ashok Roy : sarod / The Shahnai Ensemble of Hira Lai  他

RAGA GUNAKALI 他 全4曲 

北インドの器楽演奏を収録したCDです。rudra veenaは球状の共鳴器が2個付いた竹に弦を張った楽器で、フレット付きチターとしてインドで最も古いものだそうです。これは、現在では演奏されることが少なくなりましたが、最も高貴で演奏の困難な楽器と考えられているそうです。vichitra veenaとsarodも弦楽器です。shahnaiはオーボエ属の楽器です。
本CDは演奏も録音も素晴らしいと思います。私にはインド音楽の演奏の優劣を判断できるような経験も知識もないのですが、幽玄というような印象を受ける極めてレベルの高い演奏だと感じました。UNESCOが守るべき伝統音楽だということが良くわかります。
本物の北インド伝統音楽を聞きたい人にお勧めです。

 

North INDIA - Instrumental Music of Mediaeval India

UNESCO , D8205 , 1991 

Ustad Asad Ali Khan : rudra veena / Mohamed Saklain : tanpura / Pandit Gopal Das : Pakhawaj

RAGA DARBARI KANADA 他 全2曲 

上記CDの続編でしょうか、同じrudra veena 奏者の演奏です。本CDは中世インドの器楽というタイトルが付いています。
本CDの演奏も素晴らしく、音楽に引き込まれると意識が飛んでしまいそうなアブナサを感じます。但し、演奏が長時間連続のため、曲間にスペースを入れる設定でCD再生すると、音が不連続となる部分で吃驚し、現実に引き戻されます。
中世インド音楽でトリップしたい人にお勧めです。

 

シタール幻想 - 超絶のラーガ

キング , K30Y5101 , 1985/1987

モニラル・ナグ : シタール / マハプルシュ・ミシュラ : タブラ /他

ラーガ-スハ・カナラ 他 全2曲 

シタールを主とした北インド古典音楽の演奏を収録したCDです。シタールはインド音楽で最も人気のある弦楽器なので、説明の必要はないと思います。タブラは音程の調整のできる太鼓です。
本CDの演奏は、繊細、端正でありながら情緒、迫力もあるという印象で素晴らしいと思います。日本におけるスタジオ録音ですが、長時間の演奏でも録音に切れ目がなく、音も鮮明です。
シタールとタブラを堪能したい人にお勧めです。

 

Nishat Khan - Sitar Recital

Gramophone (India) , CD PSLP5441 , 1991

Nishat Khan : シタール / Kumar Bose : タブラ /他

Raga Behag 他 全4曲 

若いシタール奏者Nishat Khanによる北インド古典音楽を収録したCDです。Nishat Khanは父Ustad Imrat Khanと叔父Ustad Vilayat Khanからシタールを習い、7歳の時から演奏会に出ていました。この一族はシタールの伝統を守り、Nishatが8代目だそうです。
本CDの演奏は、若いので荒削りなところもあるのかもしれませんがスピードというか勢いがある感じです。さすがに伝統の力によるのか、格調高い演奏だと思います。
伝統の力を感じたい人にお勧めです。

 

Rabi Shankar - Master of Siter

NASCENTE, NSCD-083 , 2001(Gramophone India 原盤)

ラビ・シャンカール : シタール

Raag Alahya Bilawal( 朝のラーガ) 他 全4曲 

ラビ・シャンカールはインドで最も有名なミュージシャンだと思います。朝のラーガ、午後のラーガ、夕方のラーガ、夜のラーガという4曲をシャンカールがシタールで演奏し、タブラが伴奏しています。本CDは、インド・グラモフォンでの録音を再発したもののようですが、録音年などの詳細は不明です。
シャンカールの演奏は饒舌すぎるような先入観があり多くを聞いていないのですが、本CDの朝のラーガは落ち着いた印象で私好みです。
ラビ・シャンカールを聞きたい
人にお勧めです。

 

Ustad Sabri Khan - サーランギ

Ethnic , B6754 , 1991 

Ustad Sabri Khan : sarangi / Ghulam Sarwar SABRI : tabla / Louise GUNEL : tanpura

RAGA DARBARI 他 全2曲 

北インドの器楽演奏を収録したCDです。サーランギは木製の胴に3弦のガットと35弦以上の共鳴弦を張った擦弦楽器で、インド古典音楽の中でも最も歴史が古い楽器の一つです。同じ擦弦楽器のバイオリンと比べると、共鳴弦があるためか、柔らかく、幻想的な音がします。ウスタッド・サブリ・カーンは、1927年にモラダバード(Uttar-Pradesh)で生まれましたが、16世紀のインド音楽の父と呼ばれるTansenから続く、古い伝統を伝える家系です。
本CDでの演奏は即興的な性格が強いもののようです。写真では怖そうな顔をしているのですが、とても優しい感じの音楽です。サーランギ独奏部分は風の音を聞いているようで、音楽という作為的な感じが希薄です。
風のようなインド音楽を聞きたい人にお勧めです。

 

Dhyanesh Khan 

Chhanda Dhara , SP3478d , ?

Dhyanesh Khan : Sarod / Ashish Kumar Barari : Tabla

Raga Puriya Kaiyan ,Raga Manjh Khambaj 全2曲 

サロード演奏による北インド古典音楽を収録したLPです。Dhyanesh KhanはGHARANA樂派の家系(祖父はAcharya Allauddin Khan、父はUstad Ali Akbar Khan)で1942年に生まれました。サロードは椰子殻撥で奏する弦楽器で、Khan家では3世代に渡って伝えられてきました。本LPは録音年の記載が見つからないのですが、西ドイツにおけるダイレクト・ディスク・レコーディングであり、鮮明な録音です。但し、盤面に小さい凸(気泡?)があり盤質が良いとは言えません。
本LPの演奏は、いかにも正統派の北インド古典音楽という感じです。派手なところはなく落ち着いた端正な演奏で、サロードの勉強をしている人には、良い御手本となるのでしょう。
伝統の音楽です

 

bismillah khan

EMI(Gramophone of India) , EASD1518 , 1973 

Ustad Bismillah Khan : Shehnai / 他

RAGA GUNAKALI (朝のラーガ)他 全3曲 

シャハナーイ(Shehnai)というインドの管楽器を主とした器楽演奏を収録したLPです。Shehnaiはオーボエ属のリード楽器で、ブルターニュのボンバルドと似ています。ビスミッラー・カーンはシャハナーイの名人で2006年に91歳で惜しまれつつ世を去ったということです。本LPは1973年録音ですのでBismillahは58歳でしょうか。
本LPの演奏は北インド古典音楽の典型という感じで、ゆったりとした流れの中で、演奏者相互に影響を与えながら一体感や調和を感じさせる音楽が編み出されるという印象を受けます。記載はありませんが、打楽器も含めて5名以上と思われる伴奏者の演奏も素晴らしいと思います。
北インド古典音楽は、どのような楽器を使っても同質のものが出来上がるのが不思議です。

 

Pannalal Ghosh 

Gramophone (India) , EALP 1252 , 1960?

Panna Lal Ghosh : 竹のフルート / 他

Raag Yaman ,Raag Shri  全2曲 

フルート演奏によるインド古典音楽を収録したLPです。Panna Lal Ghosh(1911-1960)は東ベンガルで生まれた竹製フルート(バンスリ)の名手で、晩年はNational Orchestra of All India Radio の指揮者を務めていました。本LPはGhoshが亡くなった直後に出された1960年頃のインド盤のようです。古い盤面の状態は良くないのですが、録音が特に悪いという感じはしません。
本LPの演奏は、自然に流れていくような音楽で、刺激的なところがありません。私などは退屈と感じてしまうのですが、インド音楽の通には異なる様に聞こえるのだと思います。何かの宣伝文句で「刺激、足りてる?」というのを見かけましたが、刺激を求める人には全く向かない演奏だと思います。
侘び、寂びの音楽です。

 

Lakshmi Shankar

Ocora , C558615 , 1987

Lakshmi Shankar : 唄 / 他

KHYAL: RAGA AHIR BHAIRAV 他 全6曲 

北インドの声楽を収録したCDです。Lakshmi Shankarは3オクターブの声を楽に出せる女性歌手で、小さい時からタブラを演奏し、ラビ・シャンカール等にも師事したそうです。
本CDではLakshmi Shankarはswaramandalaというシタールと似た音がする弦楽器を演奏しながら唄っています。タブラ等の伴奏とともに、虚空に声を探しながら即興演奏をするという感じです。
声を探しながらの唄を聞きたい人にお勧めです。

 

ナゲシュワラ・ラオのヴィーナ 

キング, GT-5003 , 1973

Nageswara Rao : ヴィーナ

ラーガ:シュッダバンガラ 他  全4曲 

南インドのヴィーナ独奏を収録したLPです。南インド音楽(カルナータカ音楽)は僧侶(バラモン)主体で伝えられてきたため、宇宙論的世界観や客観的普遍性が、人間的感情や個性的表現よりも優先しており、哲学的な古めかしさを持っているということです。
演奏者ナゲシュワラ・ラオは南インドのバラモンで、米国の大学で同僚だった小泉文夫氏による解説には、おっとりとした控えめな人柄だと記されています。演奏も、北インド音楽のような技巧を顕示することを嫌うラオの人柄を感じさせる、地味で格調高いものだと感じます。
ラオは「日本の琴や尺八の音楽は外国音楽の感じがしない」と述べていたそうですが、私も南インドと日本の音楽には共通の基盤があるように感じます。南インド音楽は北インド音楽に比べ古臭い(田舎臭い?)感じがして馴染めませんでしたが、本LPを聴いていると不思議に静かな気持ちになります。
小泉文夫氏は解説に「たとえ世界中の人に認めてもらえなくとも、日本人の誰かが彼の音楽を本当に好きになったら、彼はそれだけで十分満足するのではないだろうか」と記しています。

想神瞑楽 - 法悦のヴィーナ

キング , K30Y5121 , 1982録音

S.バーラチャンダ : ヴィーナ / S.B.S.ラーマン : タンブーラ / R.ラメシュ : ムリダンガン

ラーガ・アーラーパナ「ガーンゲーヤブーシャニ」 他 全2曲 

ヴィーナを主とした南インド古典音楽の演奏を収録したCDです。ヴィーナは南インドの代表的な弦楽器です。奏者のBalachander(バーラチャンダー)は声楽を主とした保守的な南インドの音楽家の中では独創的な音楽家だそうです。ヴィーナの中にマイクを仕込む等の改良もしているようで、本録音でも電気楽器的な響きがするような気がします。
本CDの演奏は、楽器の音のせいか少し癖が強い感じがしますが、北インドのシタール演奏と共通の印象があります。長い音階提示部(アーラーパナ)に続く主題旋律を用いた即興演奏ですが、伴奏のムリガンダム(両面太鼓)とタンブーラの奏者も素晴らしく聞き応えがあります。

ヴィドワン - カルナータカの歌

NONESUCH , WPCS-5108 , 1968録音

ラムナッド・クリシュナン : 唄 / V・ティヤーガラジャン : ヴァイオリン / P・スリニヴァサン : タンブーラ /他

クリティ 他 全9曲 

声楽を主とした南インド古典音楽を収録したCDです。南インドの古典音楽であるカルナータカ音楽は膨大な数の歌曲がレパートリーの中心で、その多くは宗教的感情を唄ったものだそうです。
南インド古典音楽は、なじみが薄いのですが、本CDは伝説的な名歌手クリシュナンによる1968年の初録音です。(クリシュナンは1973年に亡くなりました)アメリカにおけるスタジオ録音で音も鮮明です。