イングランド
ザ・スコラーズ - イギリス民謡集
東芝EMI , TOCE-7249 , 1991
キム・アンプス : ソプラノ / ナイジェル・ディクソン : カウンター・テノール / ロビン・ドヴトン: テノール / デイヴィッド・ヴァン・アッシュ : バス 他
とねりこの木立(ウェールズ民謡) 他 全26曲
ザ・スコラーズはケンブリッジ大学キングズ・カレッジの聖歌隊奨学生たちがはじめたグループです。伴奏なしの合唱(アカペラ)でイギリス民謡を唄っていますが、ほとんどがイングランドとスコットランドの民謡で、1曲のみウェールズ民謡の「とねりこの木立」が収録されています。
とても上品な合唱で、各曲をていねいに唄っており、イギリス民謡を聞く場合のスタンダードと言えるかもしれません。昔は、好んで聞いたCDです。
しずかにイギリス民謡を聴きたい人にお勧めです。
SENSE and NONSENSE
argo, ZSW532 , 1976
Peggy Ashcroft :朗読 /Martin Best :唄、ギター、編曲 /Edward Flower :ギター
The Yonghi Bonghi Bo 他 全25曲
子供のためのLPです。イギリス民謡やノンセンス文学(エドワード・リアやルイス・キャロルの作品)を素材に、ロイヤル・シェークスピア劇場などで活躍した女優ペギー・アシュクロフトを中心とした3人組が朗読・唄・ギター伴奏をしていますが、上品で暖かな印象が素晴らしいと思います。DECCA(argo)による録音も良く、意味が分からなくとも軽快で調子のよい英語の響きが楽しめます。ノンセンス文学に関しては哲学的な議論もあるのでしょうが、解説に拠れば子供のために作られたLPということで、イギリスらしい良いセンスだと思いました。
以下に本LPからの録音を紹介します。
http://www.youtube.com/watch?v=MB6xJ_zca4E
Christmas Carols from Tewkesbury Abbey
Naxos , 8.553077 , 1994
Andrew Sackett : 指揮
The first Nowell 他 全20曲
英国チュークスベリー修道院のクリスマス・キャロルを収録したCDです。イギリスのキャロルの歴史は古く、遠く中世の昔まで遡ることが出来、最初はクリスマスと関係なく、もっと世俗的な踊り歌であったそうです。それが14〜15世紀にかけてポリフォニックなキャロルの黄金時代を迎え、宗教的な内容のものになっていったらしいのですが、本CDの収録曲がどのような起源のものかは知りません。
本CDは大合唱団とオルガン伴奏によるクリスマス・キャロルですが、私が聴いた同様のものの中では、最も魅力的で、さすがに本場イギリスの賛美歌だと感心しました。
Christmas Music from St.Pauls
Prelude Records, PRCD 4070, 1986
The Choir of St.Pauls Cathedral: 合唱 / The English Brass Ensemble: 吹奏楽 / Christopher Dearnley:オルガン / John Scott:指揮
Gabriels Message 他 全19曲
900年を超える昔から続くセントポール教会の合唱団等によるクリスマス音楽です。教会の鐘の音から始まる静かなコーラスに吹奏楽やオルガンの伴奏が付きます。イングランドは教会の音楽や合唱を重んじる国のようで、現代の作曲家にもミサ曲などの作品が多いような気がします。
由緒正しいクリスマス音楽を聞きたい人にお勧めです。
John Dowland / Complete Lute Works Vol.5
harmonia mundi, HMU907164 , 1997
Paul O'Dette : lute
Galliard 他 全21曲
英国のジョン・ダウランド作曲のリュート作品を収録したCDです。John
Dowland(1563-1626)はオックスフォード大学で音楽を学んだ後、欧州各地で宮廷リュート奏者をしたそうです。本CDでは名手Paul
O'Detteの独奏を良い音で楽しめます。イギリス王室は婚礼が近いようですが、表紙はエリザベス1世の肖像です。
大地震で外出は控えていたのですが、久しぶりにCD店に行きました。CDが増えるのは困るのですが色々な音楽を聞くのは楽しみです。(2011.04.29)
http://www.youtube.com/watch?v=VVWrS3yG0qI
Henry Purcell
ARCANA, A10, 1993
Jill Feldman: 唄 / Davitt Moroney: オルガン
Voluntary in G major 他 全17曲
パーセル(1659-1695)は当時のイングランドを代表する音楽家でウェストミンスター大修道院等のオルガン奏者でした。本CDは、演奏は凡庸な印象ですが、イングランドのオルガン製作者Thomas
Dallamにより1675-1680年にブルターニュGuimiliauで製作されたオルガンを使用しています。
Guimiliauのオルガンを聴きたい人以外にはお勧めできません。
PALLADIAN ENSEMBLE
LINN RECORDS, KCD041, 1995
Pamela Thorby: リコーダー / Rachel Podger: バイオリン / Susanne Heinrich: ヴィオラ・ダ・ガンバ / William Carter:ギター他
Broken Consort in D 他 全25曲
パーセル(1659-1695)の時代にロンドンで演奏されていた音楽を集めたCDです。Mathew
Locke(1621-1677), Nicola Matteis(d.1714?), John
Weldon(1676-1736), John Butler(d.1652)等の曲をリコーダーを主としたグループが演奏しています。素朴な曲が多いという印象ですが、演奏が生き生きしており録音も良く楽しめます。
昔のロンドンを聴きたい人にお勧めです。
エルガー&ディーリアス/チェロ協奏曲 - デュ・プレ
東芝EMI , TOCE-7222 , 1965/1991
ジャクリーヌ・デュ・プレ: チェロ / サー・ジョン・バルビローリ指揮: ロンドン交響楽団 / 他
エルガー曲 チェロ協奏曲ホ短調作品85 他 全2曲
エルガー(1857-1934)はパーセル以来のイギリスの作曲界の空白を埋めた偉大な作曲家だそうです。このCDを紹介した理由は、若くして難病で亡くなった天才ジャクリーヌ・デュ・プレの演奏が素晴らしいからです。ある評論家は「彼女の演奏がもたらしてくれる喜びは純粋に、また、”古典的に”音楽的である」と称えたそうです。
素晴らしいチェロ演奏を聴きたい人にお勧めです。
Doctor Bull's good Night
ASTREE, AS128543 , 1999
Pierre Hantai : ハープシコード
In nomine 他 全23曲
英国のJohn Bull
(1562-1628)のハープシコード作品を収録したCDです。イタリアのF.A.1677という銘器をPierre
Hantai(b.1964)が演奏しています。ASTREEによる良い録音のハープシコードを聞いていると、石造の大邸宅で紅茶でも飲んでいるような気分になります。
話題は変わりますが、テレビで若い人を見ると、「かわいい」とか「かっこいい」ということで大騒ぎです。他人の目を気にして、外面ばかりに注意が向くと、内面を磨くことが最重要だということを忘れてしまいます。最近は表紙絵のような小型犬を連れて散歩している人を見かけることが多くなりました。おとなしく愛くるしいので人気があるのだと思いますが、人間は愛玩動物ではありません。(2010.03.27)