チェンバロ

ホーム・ページで紹介しているものは民族音楽が主なのですが、ここではクラシックのチェンバロ演奏を紹介します。

Doctor Bull's good Night

ASTREE, AS128543 , 1999

Pierre Hantai : ハープシコード

In nomine 他 全23曲 

英国のJohn Bull (1562-1628)のハープシコード作品を収録したCDです。イタリアのF.A.1677という銘器をPierre Hantai(b.1964)が演奏しています。ASTREEによる良い録音のハープシコードを聞いていると、石造の大邸宅で紅茶でも飲んでいるような気分になります。
話題は変わりますが、テレビで若い人を見ると、「かわいい」とか「かっこいい」ということで大騒ぎです。他人の目を気にして、外面ばかりに注意が向くと、内面を磨くことが最重要だということを忘れてしまいます。最近は表紙絵のような小型犬を連れて散歩している人を見かけることが多くなりました。おとなしく愛くるしいので人気があるのだと思いますが、人間は愛玩動物ではありません。(2010.03.27)

Keyboard Music from Eastern Europe 

Vox(ワーナー・パイオニア), H4909/11 , ?

Janos Sebestyen : ハープシコード&オルガン

ポーランドのルネサンス、ハンガリー舞曲、チェコとスロヴァキアのチェンバロ曲  全41曲(LP3枚組) 

東欧の鍵盤音楽(16〜18世紀)を収録したLPです。演奏者ヤーノシュ・シェベシュティエン(1931-)はブタベスト生まれの男性で最近でも多くのCD等を録音している名手です。本LPの収録曲は珍しいものが多く、解説も専門的なので私には理解できませんが、演奏と録音が素晴らしいので紹介します。
最近入手した本LPはプレスも盤の状態も完璧だったのですが、私の常用している古いカートリッジでは荒れた音になってしまう程、鮮明な音と豊かな残響を感じさせる優秀録音盤でした。最初は曲毎に異なる楽器を使っているのかと思ったのですが、多分、念入りな楽器の調律と録音マイクの調整等で多彩な音色が感じられるのではないかと思います。このようなLPは一般向けではなく、演奏家や専門家御用達の特殊なものかも知れません。
カートリッジやアームの調整が大変なのでお気軽には聞けませんが、素人でも楽しめる素晴らしい演奏です。

J.S.Bach /The Well-Tempered Clavier 

RCA, LM1708 , 1950年代?

Wanda Landowska : ハープシコード

Book2 nos.9〜16  全8曲 

バッハのチェンバロ曲を収録したLPです。演奏者ワンダ・ランドフスカ(1879-1959)はワルシャワ生まれの女性で20世紀のチェンバロ復興の立役者だそうです。本LPは、多分、ランドフスカ考案による近代的な楽器による演奏で、音量が変動するように感じることに違和感がありますが、重厚で多彩な音が出るので楽しめます。録音は悪くないのだろうと思いますが、盤面に凹みなどが見られる品質の悪い古いLPなのでノイズが多いのが残念です。演奏は立派なものだと思いますが、ゆっくりと静かに奏される部分で感じる「寂しさ、侘しさ」が特に印象に残ります。この「寂しさ、侘しさ」は上質なクラシック演奏で時折感じられるものですが、バッハの曲がこのように悲痛に響くのは聴いたことがありません。

J.S.バッハ /イギリス組曲 第5番、第6番

ARCHIV, 14074 , 1956 

Ralph Kirkpatrick : チェンバロ

BWV810、811  全2曲 

バッハのチェンバロ曲を収録したLPです。演奏者ラルフ・カークパトリック(1911-1984)はアメリカ生まれの学究的な人でランドフスカなどに師事しました。演奏は端正でありながら男性的な元気良さ(推進力)が感じられるものです。特筆すべきは録音の素晴らしさでレーベル面記載の1956年というのが本当なのかと疑うほどです。録音の良いことで有名なスコット・ロスのSTIL盤(私はCDしか聴いたことはありません)に比べても遜色ないのではないかと思います。学術資料という感じの素っ気無い外観(ジャケット)ですが、生き生きとした演奏は楽器の音色も素晴らしく楽しめます。

 

J.S.バッハ /フランス組曲 

PHILIPS, 13PC-160 , 1980(1952録音) 

Isolde Ahlgrimm : ハープシコード

BWV812〜817  全6曲 

バッハのチェンバロ曲を収録したLPです。演奏者イゾルデ・アールグリム(1914-1995)はウィーン生まれの女性でフランツ・シュミットなどに師事しました。演奏は上品で暖かな印象が残る素晴らしいものです。バッハが所持していたようなペダル・ハープシコードを用いた演奏ですが、繊細な音色が曲の魅力を引き出していると思います。バッハの鍵盤曲はグールドなどのピアノ演奏で聴かれるのが一般的だと思いますが、このハープシコード演奏を聴けば違った魅力を感じられると思います。
本LPは古い録音を再発した廉価盤ですが良い音です。このような演奏を廉価盤で発売していたことにレコード会社の良心を感じます。