ウェールズ

Welsh Folk Songs 

Folkways, FP835 , 1954

Meredydd Evans : 唄

Robin Ddiogl 他 全28曲

英国ウェールズの民謡を収録した25cmLPです。歌い手のMeredydd Evansはウェールズで生まれ育ち、録音時はプリンストン大学で学位を取得した頃だったようです。
伴奏なしの独唱で、ちょっと聴きでは下手だと感じますが、何回か聞いてウェールズ民謡に慣れてくると名手だと思うようになります。
手元のLPには解説が付いていなかったので、インターネットで調べると、米国スミソニアンのサイトに本LPの解説が公開されているのを発見しました。このような録音は少数の人しか興味がないと思いますが、丁寧に記録を残して公開してくれるのはありがたい事です。
http://www.folkways.si.edu/albumdetails.aspx?itemID=1200

 

Hen Aelwyd / Old Hearth

Sain, SCD2232, 1999

Robin Huw Bowen : Triple Harp

Old Hearth 他 全10曲

ウェールズのハープ独奏を収録したCDです。Robin Huw Bowenという男性の演奏ですが、女性の名人Nansi Richardsと同様にウェールズに伝わる古くからのハープの伝統を受け継いでいる人のようです。このCDでは伝統曲とともに新作曲が素晴らしい録音で聞けます。男性のハープ演奏は始めて聞きましたが、紳士による演奏とは、このようなものかと感じ入りました。豊かな音色のハープが、自然に優しく力強く唄いだします。
gentlemanのハープを聴きたい人にお勧めです。

 

The Rough Guide to the Music of Wales

World Music Network 2000, RGNET 1052 CD

編集CDなので、演奏者毎に紹介します。

Llio Rhydderch / Melangell

女性ハープ奏者による独奏です。これはオリジナル曲のようですが、彼女は14世紀から続く伝統を伝える師匠からハープを習ったということです。ブルターニュのハープと似ており、静かで落ち着いた感じの演奏です。

Julie Murphy & Dylan Fowler / Y Ddau Farch

Julie Murphyは最も素晴らしい女性伝統歌手の一人だということです。Dylan Fowlerはギタリストです。この曲は西ウェールズにあるJulieの生まれた村の伝統曲で、不正な労働条件に対する政治的な内容の唄だそうです。

Rag Foundation  / Mynd Rymni 

Rag Foundationは若者のバンドです。20世紀初めにウェールズ南部の工業地帯へ出稼ぎに行った労働者から習った唄を演奏しています。都会的にアレンジしているということですが、真面目な印象の演奏です。

William Taylor  / Kaniad Y Gwynn Bibydd 

ウェールズのハープの伝統には2つの流れがあり、一つはバロックからのものであり、他の一つは少なくとも中世初期まで遡りヨーロッパ主流には属さないものです。William Taylorのハープ演奏は後者の古い伝統に基づくものだそうです。この古い音楽はスコットランドのpiobaireachdとも関連があるようです。

Capel Rhydwilym / Canu'r Pwnc 

これはPembrokeshireと西Carmarthenshireのとても古いスタイルの合唱で、聖書の一節をうたっているということです。合唱というよりも声を合わせて聖書を読み上げているという感じです。これは1967年録音で、ウェールズ生活博物館に保存されている音源を収録したものです。

Ffynnon / Hiraeth Am Feirin 

唄、ピアノ、ハープの女性グループです。素朴ですが現代的な香りのする演奏です。

John Thomas / Hen Ladi Fowr Benfelen 

男声による民謡独唱です。John Thomasは北Pembrokeshire生まれで、かれの叔父さんの素晴らしい伝統歌手であるBen Philipsから多くの唄を習いました。ヨーロッパの田舎を感じさせる唄だと感じます。全く飾り気はありませんが、印象深い歌声です。

John Morgan / Lawr A'r Ffrancod/Medley Caerfaddon

コンサルティーナの独奏です。John Morganは南ウェールズ生まれで、ロンドンでアイリッシュ・フィドルを演奏していましたが、ウェールズに戻ってからはMcCann-systemのコンサルティーナで伝統曲を演奏しています。この曲は、最近、私の頭の中に住み付いてしまったようで、鼻歌で歌っている自分に気が付きます。

Ceri Rhys Matthews & Jonathan Shorland / Conset Y Peipar Coch / Erddigan Y Pibydd Coch 

バグパイプとボンバルドのような楽器による合奏です。バグパイプは19世紀初めまではウェールズで一般的な楽器でしたが、ハープと同様に衰退しました。ウェールズのパイプはブルターニュ等のヨーロッパの楽器の仲間でバッグつきのものと口で吹くもの(ボンバルドのような楽器?)があるそうです。

Bob Evans & Gareth Whelan / Erddigan YPibydd Coch/ Tri A Chwech / Marwnad Yr Heliwr

フィドルの合奏です。Bob Evansは多くのウェールズの若い音楽家に影響を与え、Gareth Whelanはその一人です。収録されている曲はBob のレパートリーで、彼が'Baroque gone native'と称するものです。バロックの香りもするトラッドという感じの鄙びた演奏です。

 

以上の他にFERNHILL等の有名グループの演奏も含めて、全20曲が収録されてます。多様な音楽ですが、真面目で飾り気のない共通した雰囲気が感じられます。ブルターニュの伝統音楽にも似た雰囲気があります。ケルト語属のなかでもウェールズ語とブルトン語は近い言葉だということですが、音楽もつながりがあるのでしょうか?地味な音楽なので商業的な価値は小さいのでしょうが、消えてしまうのは惜しい貴重な音楽だと思います。
ウェールズの伝統音楽を幅広く聞きたい人にお勧めです。

 

CATATONIA / The Sublime Magic Of....

MIDI, MDCP 4070, 1996

セリーズ: 唄 / マーク : ギター / ポール:ベース / ディヴィッド:ドラム

Cariadon ffol他 全9曲 

CATATONIAはウェールズのポップ(ロック?)・グループです。私はポップスは、あまり聞かないのですがウェールズ語で歌っているというので聞いてみたところ、お気楽な音楽ではなく、一種の悲痛さというものを感じます。
ウェールズの若者の声を聞きたい人にお勧めです。