ロシア

ウラジーミル・ヴィソーツキイ /大地の歌

オーマガトキ, SC-4101, 1988(Le Chant du Monde 原盤1977録音)

ウラジーミル・ヴィソーツキイ : 唄 /コンスタンチン・カザーンスキイ : ギター /ピエール・モレロン : ベース /他

奴は戦闘から戻らなかった 他 全25曲 

ウラジーミル・ヴィソーツキイ(1937-1980)はロシアの詩人、舞台俳優で、本CDでは自作曲を唄っています。解説には宮沢俊一氏の訳詞が付いていますが、氏に依ればロシアの民衆語は「美」という言葉が同時に「醜」を意味するような反語性に富み、日本語訳は困難なようです。「悲劇的に人生を終えた人こそ真の詩人」というような詞で、理解するのは容易でありません。ヴィソーツキイの葬儀の日には20万人もの人々が近くの建物の屋根の上まで埋め尽くしたそうです。
本CDは力強く重く暗い印象の唄で、日本で最近流行の軽薄な唄とは全く違います。昔、図書館で借りて聞いた時には重苦しくて耐えられない感じでした。
重く暗い唄に耐える力のある人にお勧めです。

 

The Golden Age of the Russian Guitar

DORIAN, DOR-93170, 1998

Oleg Timofeyev : ロシア7弦ギター  

As From Beyond the Forest (Sychra作曲) 他 全20曲 

19世紀前半に興隆したロシアン・ギターをOleg Timofeyevが演奏しています。スペインを中心とした一般的なギターは6弦ですが、19世紀のロシアでは7弦ギターが流行しました。
本CDではSychra(1773-1850), von Held , Alferiev, Morkov, Vysotsky, Zimmerman, Sarenko 等が作曲した7弦ギターのための曲が収録されています。普通のクラシック・ギター演奏という感じで、特にロシア風という感じはしません。上品で響きの多い録音です。
ロシアン・ギターに興味がある人にお勧めです。

 

The Dmitri Pokrovsky Ensemble - The Wild Field

REAL WORLD, CAROL2316-2, 1991

The Dmitri Pokrovsky Ensemble: 合唱、笛  

Mosquito他 全14曲 

南ロシアのドン川とドニエプル川に挟まれた地域の伝統曲をThe Dmitri Pokrovsky Ensembleが演奏しています。この地域はWild Fieldと呼ばれNekrasov CossacksやOld Believers等が住んでいたということです。
男声合唱と女声合唱と笛の演奏が収録されています。合唱は素朴な地声コーラスという感じのポリフォニックなもので、ロシアのlong songと呼ぶそうです。笛は野を渡る風の音という感じの不思議な旋律です。
ロシアの荒れ野に興味がある人にお勧めです。

 

CHANTS DU GOULAG

LE CHANT DU MONDE , LDX 274933, 1975/1992

Dina VIERNY: 唄 / Henri AGNEL:ギター / Jacques FLORENCIE:ギター 他 

LE RUISSEAU他 全13曲 

ロシアの強制収容所、刑務所で生まれた唄を集めたものです。作者不詳のものとしてモスクワなどでも唄い継がれているそうです。
ギター等の伴奏で女性が唄っています。解説には言葉の美しさやユーモアも感じさせる唄だと記されていますが、言葉の分らない私にはユダヤの唄のような侘しさを感じます。
ロシアの強制収容所に興味がある人にお勧めです。

 

Russian Orthodox Hymns and Chants

IKON records, IKO9002, 1979/1994

Nicolai Gedda: 唄(ソロイスト) / Choir of the Uspenski Cathedral (男声合唱)他 

Come and let us bless Joseph 他 全17曲 

ロシアの教会で一般的に歌われる賛美歌などを集めたものです。9から10世紀のビザンティン礼拝式にまで遡る古い伝統曲を19世紀以降の音楽家が編曲?した形で男声合唱をしています。
ソロイスト付きで朗々と歌い上げる合唱は、いかにもロシアという感じです。
ロシアの賛美歌に興味がある人にお勧めです。