アメリカ

Farewell My Home

Flying Fish , FF70620 , 1993

Tony Ellis :バンジョー 、Bill Ellis : ギター 、他

Cherry Blossom Waltz 他 全23曲

アメリカの音楽ブルーグラスのCDです。トニー・エリスはビル・モンローのグループでバンジョーを演奏していたベテランで、本CDでは息子ビル・エリスのギターと合奏しています。Cherry Blossom Waltz(桜のワルツ)という曲は日本の友人のために作曲したそうです。
ゆっくりと丁寧に演奏されるバンジョーから唄が聞こえてくるような味のある演奏です。高橋竹山の初期録音も津軽三味線から唄が聞こえてくるような演奏だなと思ったことがあります。
唄うバンジョーを聴きたい人にお薦めです。

 

Milton Babbitt / Sextets

New World , NW362-2 , 1988

Rolf Schulte : バイオリン / Alan Feinberg : ピアノ

The Joy of More Sextets 他 全2曲

アメリカの現代音楽のCDです。伝統音楽ではないのですが、いかにもアメリカを感じさ せるCDなので紹介します。Milton Babbittはプリンストンやジュリアードの教授で、20世紀の重要な作曲家だそうですが、私には曲の真価は分かりません。ただ、精緻で気迫のこもった 演奏に驚きます。高等数学のように難しそうな曲を完璧に息を合わせて演奏しているのを聴くと、月までロケットを飛ばしたアメリカのすごさを感じます。
本CDは個人財団などの寄付により制作されたようで、お金持ちの国はさすがだと思いました。ニューヨークのRCA Studio Aにおける録音も素晴らしいです。
現代アメリカを感じたい人に、お薦めです。

 

The World Saxophone Quartet / Steppin'

Black Saint , 120 027-2, 1979

David Murray : テナー・サックス、バス・クラリネト/ Oliver Lake : アルト&ソプラノ・サックス / Julius Hemphill : アルト&ソプラノ・サックス / Hamiet Bluiett : バリトン・サックス、フルート

Steppin' 他 全6曲

アメリカといえばジャズは落とせません。ワールド・サキソフォン・カルテットをジャズ代表とするのは異論が多いと思いますが、私の最も好きなグループとして紹介します。
このCDは、演奏者相互の応答(呼応)がスリリングであり、体調の良い時に集中して聞くことができれば、他では得がたい音楽を体験することも可能です。
ジャズが好きで、体調の良い人に、お薦めです。

 

ビリー・ホリディ / アット・カーネギー・ホール

Verve , POCJ2379 , 1956年録音

Bille Holiday : 唄 / チコ・ハミルトン他、演奏

ボディ・アンド・ソウル 他 全13曲

ジャズの代表的女性歌手ビリー・ホリディ(1915-1959)のCDです。1956 年のカーネギー・ホールにおけるコンサートを収録したもので、司会による彼女の自伝「奇妙な果実」の朗読と、ビリーの唄が交互に収録されています。黒人へ の迫害、商業主義による搾取や麻薬の犠牲者とも思えるビリーの唄からは、怒りや悲しみよりも純粋に唄うことの喜びが感じられ、涙なしには聞けません。
彼女のCDには録音が悪いものや、不調の時のものが多いのですが、私は、このCDによってビリーの素晴らしさ、すごさを知りました。
偉大なジャズ歌手を知りたい人に、お薦めです。

 

Got You on My Mind

Waking Up Music, ? , 2003/2004

William Galison : 唄、ハーモニカ、ドブロ等 / Madeleine Peyroux : 唄、ギター / 他

Back in your own Back Yard 他 全11曲

古いアメリカの流行曲(Rag等)を収録したCDです。フランス語で唄われる曲もあり、ヨーロッパの香りがする、ジャズの源流の一種ではないかと思います。
本CDは、不思議な浮遊感を持った軽妙な演奏です。古き良きアメリカを感じさせる
マデリン・ペルーの唄が魅力的で、リラックスして楽しめます。
お気楽にジャズを聴きたい人に、お薦めです。

 

  

Sacred Spirit

Virgin , CDVY2753 , 1994

? : 唄と演奏

Tor-Cheney-Nahana 他 全11曲

アメリカ先住民の唄とダンスをベースにした音楽のCDです。唄と電気楽器を合成する等 で聞きやすく加工されており本物の伝統音楽ではないと思いますが、このCDで印象的なのは上に示す1900年頃に撮られた写真です。このような誇り高い人 々の文化が滅びつつあるのは寂しい気持ちです。
素晴らしい肖像写真を見たい人に、お薦めです。

 

Grand Concert

Drian , DIS80108 , 1993

D.C.Hall's New Concert & Quadrille Band : 唄と演奏

The Village Blacksmith 他 全17曲

19世紀のアメリカの唄と器楽を収録したCDです。ヨーロッパのクラッシック音楽の模倣という感じで、多分、上流社会の人々に聞かれていたものだと思います。H.W.Weiss等の作曲した、〜Waltz, 〜Polka という題名がついた曲が収録されています。
19世紀のアメリカ上流社会の雰囲気を知りたい人以外には、お薦めできません。

 

セイクレッド・ハープの魅力

Nonesuch , WPCS5167 , 1978/1996

ワード・オブ・マウス合唱団 : 唄

ノースフィールド 他 全21曲

アメリカ南部で発達した宗教合唱であるセイクレッド・ハープ音楽を収録したCDです。セイクレッド・ハープ音楽はシェイプ・ノート音楽、ファソラ音楽とも称され、18世紀半ばからニュー・イングランド地方で盛んになった歌唱学校にさかのぼるそうです。
このCDで聞ける合唱は、かん高い声で思いっきり唄われるもので、静かな宗教音楽とは違います。セイクレッド・ハープは人に聴かせるものではなく、歌い手のためのものであり、みんなが歌唱に参加して、抑制無く唄う事を楽しむのだそうです。
思いっきり唄う宗教音楽を楽しみたい人に、お薦めです。

 

ケイジャン・ダンス・パーティ / FAIS DO-DO

Sony , SRCS7394 , 1994(1929-1930年代の録音)

アメデ・ブロー、アメデ・アルドワン、他 : 唄、アコーディオン、ギター等

マ・ブロンド・エ・パルティ 他 全23曲

アメリカ南部のルイジアナには、カナダのノバ・スコシアから追われて移り住んだフランス系の人々(アカディアンまたはケイジャン)がいます。このフランス系のケイジャンによる1930年頃の唄・演奏を収録したCDです。
このCDで聞けるケイジャン音楽は、ダンス曲を主とした元気の良いトラッドにブルースを混ぜたような大衆音楽です。最近の上品なトラッドとは正反対の、単純で粗野な演奏です。
歴史的録音の収集家以外には、お薦めできません。

 

Ray Legere & Roger Williams / River of No Return

Strictly Country , SCR-47 , 1996

Ray Legere : 唄、マンドリン、フィドル、ギター/ Roger Williams : ドブロ、唄 / Frank Doody : バンジョー、唄 / Brian Arsenault : ベース / 他

Puddle Jumper 他 全12曲

アメリカを代表する音楽であるカントリーのCDです。これは、電気楽器を使わず伝統的なスタイルで演奏しており、カントリーというよりもブルーグラスというのでしょうか?
私はカントリーを沢山聞いているわけではありませんが、このCDの演奏は素晴らしいと思います。但し、演奏が完璧で上品なため、もっと荒っぽいほうが好きという人も多そうです。
上品なカントリーが好きな人に、お薦めです。

 

Murderers' Home

Sequel , NEX CD 121 , 1990(1947年Alan Lomax録音)

ミシシッピ州立刑務所の囚人 : 唄

Road Song 他 全18曲

アメリカの囚人による唄を収録したCDです。アラン・ローマックスは1933年から父 と供にミシシッピ州立刑務所に通い、1959年まで囚人の唄を録音し続けたそうです。本CDは1947年に録音したものです。最新の技術でノイズを除去し ていますが、録音が悪く、遠くから聞こえてくるような不鮮明な音です。
本CDは労働歌という感じのものが主のようですが、聞いていると気分が滅入ってきて最後まで聞き通せません。このようなCDを聞いている愚かさを思うと自己嫌悪に陥ります。
普通の人にはお薦めできません。